第37回
南京事件が米国で映画化、基はあの問題本
国際問題評論家 古森 義久氏
2006年12月8日
旧日本軍による南京事件の映画が、今度は本当に米国で作られた――。
旧日本軍による南京での殺戮を題材としたハリウッド映画について、「クリント・イーストウッド監督」というその報が虚構であったことはこの連載コラムで以前に書いた。だが今度は同じ南京事件を扱った映画が本当に米国側で作られたというのである。
映画は表現の自由の発露であり、どんな題材でそれが制作されても、そのこと自体が悪いと断ずることは難しい。だが今回の映画はドキュメンタリーとされ、しかもあの悪名高い書『レイプ・オブ・南京』を土台にしたという点が気になるところである。
既に米国、日本いずれの報道でも明らかとなったように、米国の大手インターネット企業「AOL」(アメリカ・オンライン)の副会長テッド・レオンシス氏が私費2億ドル以上を投じて、『南京』(仮題)という映画の制作を米国の専門家集団に委託した。そして既に2006年夏に完成し、国際的にも知られた米国の映画フェスティバル「サンダンス映画祭」に出品し、ドキュメンタリー部門で応募800本以上のうちの最終候補16本の一つに選ばれたという。受賞映画の発表は2007年1月に予定されている。
レオンシス氏といえば、米国のインターネット業界の創設に貢献した人物で、AOLの拡大にも大きく寄与してきた。現在50歳だが、今年末には第一線から引退し、最近、創設したばかりの映像プロダクション「アガベ」の経営にあたることを公表している。映画『南京』は同プロダクションの第1作にもなるというのだ。ただしAOL自体はこの映画とは一切、無関係であることを強調している。
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