第36回
“北”は制裁に耐えられる―― 米国議会専門官の予測
国際問題評論家 古森 義久氏
2006年11月28日
北朝鮮への経済制裁はどれほどの効果を発揮するのか ―― 米国できわめて興味深い調査結果が明らかにされた。
11月中旬、わたしはベトナムのハノイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の取材に出かけた。ワシントンから東京経由の長い距離だったが、久しぶりのベトナムも、またAPECでの安倍晋三首相を含む各国首脳の動きも、間近にみるだけの価値ある対象だと感じた。
さてこのAPECで最大のテーマとなったのはAPECが本来、取り組む貿易自由化ではなく、北朝鮮の核兵器開発だった。金正日政権の核武装をどう阻止するか、である。国際社会にとっての切迫した課題であることは当然だが、特に日本にとっては重大な懸念の対象である。
日本も米国もいま北朝鮮の核実験に抗議し、核武装を阻むために、種々の制裁措置をとり始めた。国連も安保理を主体に同様の制裁措置をとりつつある。そこで注目されるのは、こうした制裁措置が金正日政権にどんな影響を与えるか、である。核武装を放棄させるだけの深刻な打撃を与えるのか。場合によっては金正日政権の崩壊につながることもありうるのか。こうした諸点がカギである。
制裁は現段階ではほぼすべて金融とか貿易にかかわる経済制裁措置に限られ、そのなかでも注視されるのは「贅沢(ぜいたく)品」の禁輸だといえる。贅沢品は金正日政権を支えるエリート層の金総書記への忠誠を保つための必需品であり、その必需品が制裁によって底をつけば、あるいは制裁によって必需品を買う資金がなくなれば、エリート層の金体制絶対支持も揺らいでくると期待される。
現に米国のジョン・ボルトン国連大使は国連安保理決議のうちの北朝鮮への「贅沢品」売却禁止の部分について「北朝鮮のエリートたちに国民の大多数が経験してきた苦痛を味あわせることが目的だ」とも述べている。
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