なによりも米国が日本の核武装に反対だった
米国の自称他称の日本専門家の間でも「日本の核武装論」は長年、ちらほらと語られてきた。日本側にそんな動きはツユほどもないのに、タメにする議論としてそうした主張を打ち出す人も存在した。どうもそんな部類に属するといえる典型例は、民主党系リベラルのアジア研究者セリグ・ハリソン氏だった。「日本には自主的な核武装を求める危険な動きがある」という式の主張をときおり発表してきた人物で、私自身も「日本のどこにそんな動きがあるのか」と反論した経験が何度もある。
そもそも日本の核武装論がこれまでまともな議論たりえなかった理由の一つは、肝心の米国が日本のそんな動きには絶対に反対するという大前提があるからである。米国が主導した核拡散防止体制は核武装の国家を現在以上には増やさないということが大原則である。この体制は核拡散防止条約(NPT)によって支えられてきた。日本ももちろん署名国である。この国際条約に加わった非核の国は核武装をしないことを誓っているわけだ。
米国はこのNPTの最大の推進国であり、日本に対しては日米安保条約に基づく二国間同盟で「核の抑止力」を提供している。つまり日本の防衛のための「核のカサ」を保証しているのだ。その代わり日本は独自の核は持たないということが相互の了解である。
この連載のバックナンバー
- 北朝鮮のミサイル発射があらわにした日米同盟の希薄化 (2009/04/14)
- 間近に迫るテポドン2号の脅威を読み解く (2009/03/31)
- 保守派の論客、ラッシュ・リムボウを知っているか (2009/03/17)
- 社会主義色が濃厚になったオバマ大統領の施策 (2009/03/03)
- ヒラリー訪日の意味 (2009/02/17)

