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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

「米大統領は対中関係を重視し、日本の要請を断る」

 さてこの書『ショーダウン』は9章から成るが、そのちょうど真ん中の第5章が「中国と日本の戦争」とされ、日中両国の本格的な軍事衝突のシナリオが2009年1月20日を出発点として描かれる。その前年の米国大統領選挙では民主党リベラル系の女性政治家が勝利を飾り、初の女性大統領に就任してホワイトハウス入りしたという想定である。

 そこから始まる日中戦争のシナリオの要点を紹介しよう。

 「日本の首相が米国の女性大統領に尖閣諸島の至近海域で中国とロシアの海軍が合同で大演習を始めたことを告げ、米国として中国とロシアにその中止を求めることを要請する。だが同大統領は『対中関係が大切だから中国を刺激したくない』と断る」。

 「中国では北京オリンピックを成功裏に終えたが、貧富の差が広がり、失業者が急増した。共産党政権は人民の不満を抑えようと、国内ではナショナリズムを高揚させ、外部では周辺諸国、特に日本への覇権行使を行い、『中国人民は日本の首相の靖国神社参拝を中国への戦争行為だとみなす』と宣言する」。

 「日本を屈従させるため中国指導部は中国内で働く日本人技師らをスパイ容疑で逮捕して裁判にかけ、死刑の判決を下す一方、中国全土で反日デモを組織するが、そのデモが2000万人参加にまで膨れあがる。中国は日本の首相が靖国を参拝したことに対し、全面的な謝罪を求め、さらに尖閣諸島の放棄を迫る」。

 ―― 米国の初の女性大統領とは明らかにヒラリー・クリントン女史を示唆している。同書のなかではこの大統領が「小さな島のために大切な貿易相手の中国を挑発することはできない」と日本の首相の懇願をあっさり断る場面がドラマチックに描写される。「日米安保条約は尖閣諸島には適用されない」と言明した米国の民主党政権の駐日大使が現に存在したのだから、一概に「荒唐無稽」で済ませられないシナリオである。まして中国側のナショナリズムと反日デモの扇動、尖閣諸島の領有権主張、日本の首相の靖国参拝非難など、現実とそう変わらない。

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