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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第25回
「日中戦争」は北京オリンピックの1年後
―― 米専門家が描く悪夢のシナリオ

国際問題評論家 古森 義久氏
2006年6月23日

 「中国が日本にミサイルを撃ち込み、尖閣諸島への攻撃を開始した。米国の新大統領は日米安保条約の発動を拒み、日本を支援しないと言明した。2009年7月のことだ――」。

 こんな悪夢のような新「日中戦争」のシナリオが明らかにされた。米国でこの6月、ペンタゴン(国防総省)の元高官二人が共著で刊行した『ショーダウン』(対決)という書の内容である。同書は中国人民解放軍の実態と、その基盤となる中国の対外戦略の特徴を分析している。その副題に「なぜ中国は米国との戦争を欲するか」と記されたように、同書は中国のいまの強烈な軍拡が、やがては米国と対決するためだという前提から、具体的な人民解放軍の現実を論じ、シミュレーション(模擬演習)の形で予測される軍事シナリオをいくつか打ち出していた。現状に基づく近未来フィクションと呼んでもよい。

『ショーダウン』

 この書『ショーダウン』の著者の一人ジェッド・バビン氏は先代ブッシュ政権の国防副次官だった。空軍将校の出身で弁護士活動から著作活動まで幅広い領域で活躍しているが、軍事問題に詳しい。もう一人の著者エドワード・ティムパーレーク氏もレーガン政権時代の国防総省の動員計画部長だった。先代ブッシュ政権では退役軍人問題担当のホワイトハウス高官にも任命された。海軍士官学校卒後に海兵隊将校となり、戦闘機パイロットまで務め、議会下院の軍事問題スタッフを歴任、中国軍事関連の著書も今回のほかにすでに刊行している。だから少なくとも軍事全般や中国の軍事動向には詳しい二人の筆者たちなのである。

 
 

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