虚報は誰がどんな意図で流したのか
しかし恐ろしいのは中国発のこんなデタラメがたとえ短期間にせよ、日本側を動揺させ、混乱させた事実である。もし私がその情報がウソであることを確認しなかったら、その動揺はもっと長く続いたことだろう。もしだれかが意図的にこんなウソ情報を流したのだとすれば、その効用はかなりあったわけだ。なにしろ日本の有力な識者たちがそのデマを真実だと受け止めて、まともに反応してしまったのである。
このデマ情報を流した文匯報は中国共産党上海市委員会の監督、指導下にある日刊新聞だという。部数は公称30数万、この規模の地方新聞にしては海外に設置した支局や配置した特派員の数が異様に多い。そのへんからこの文匯報が中国情報当局との間に特殊なきずながあるようだと推測する向きもある。そのへんの実態は私にはまったく不明だが、この新聞が流した「南京事件ハリウッド映画」の情報が結果としてディスインフォーメーション(政治謀略やスパイ活動のための故意の虚報)の効果を発揮したことは、どうみても否定できない。しかも中国当局が望むような形での効果である。ただし、だれが、どう、具体的にどんな意図でこの謀略ふう虚報を流したかは、なおわからない。
この連載のバックナンバー
- 北朝鮮のミサイル発射があらわにした日米同盟の希薄化 (2009/04/14)
- 間近に迫るテポドン2号の脅威を読み解く (2009/03/31)
- 保守派の論客、ラッシュ・リムボウを知っているか (2009/03/17)
- 社会主義色が濃厚になったオバマ大統領の施策 (2009/03/03)
- ヒラリー訪日の意味 (2009/02/17)

