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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第8回
東京にもテロが迫る!
~欧米の専門家が次々に警告~

国際問題評論家 古森 義久氏
2005年10月7日

アルカーイダの次の標的は東京?

 東京でテロが起きるのか。いや日本自体が国際テロの標的になっているのか。

バリ島爆弾テロ・現場現場のがれき
バリ島クタ地区で爆破されたレストランのがれきを調べる警察官(インドネシア・バリ島)
(写真提供:時事通信。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うこと は禁じられています)

 不吉な疑問の提起ではあるが、いよいよ真剣に考えるべき時期がきたようだ。同じアジアのインドネシア・バリ島でついこの10月1日に同時爆弾テロが起きたのである。しかもその犯行は全世界に恐怖をまきちらす国際テロ組織のアルカーイダと関係の深い「ジェマ・イスラミア」(JI)だとの疑いが濃いという。テロリストの国際的ネットワークが同じアジアに存在する世界第二の経済大国のわが日本へと触手を伸ばすことも、理屈のうえではごく自然なのだ。

 いや「東京でのテロリズム」という可能性は単に疑問としてではなく、すでに一定の見通しとして語られている。

 国際テロの捜査では最高の権威だとされるフランスの予審判事ジャンルイ・ブリュギエール氏がこの8月、イギリスの大手紙フィナンシャル・タイムズに「アルカーイダが東京でテロ攻撃を起こす危険がある」と語ったのである。このブリュギエール氏は肩書きは判事だが、実際には捜査官と検察官を兼ねたような権限を持つ。そしてその立場でフランス当局の特殊テロ取締り班の指揮者としてもう20年も各種のテロリストを追ってきた。その最大の対象はアルカーイダに代表されるイスラム系の過激武闘派である。

 同氏は1989年にイギリスのスコットランド上空でアメリカのパンアメリカン航空旅客機が爆破された事件では、だれよりも早くリビアの国家的な関与を突き止めていた。94年にはアルジェリアのイスラム系テロ組織がエール・フランスの旅客機を乗っ取り、パリのエッフェル塔に突入するという計画を察知して、一味を逮捕した。そんな実績からフランス国内では「シェリフ」(保安官)とも呼ばれてきた。

 そのブリュギエール氏がフィナンシャル・タイムズに以下のようなことを語ったのだ。

 「われわれはアルカーイダ系のテロ組織がアジアの一定の国、とくに日本を標的として攻撃をかけるという見通しを示すいくつかの情報を得ている」

 「アルカーイダは東京、シドニー、シンガポールなどのアジアの金融センターに攻撃をかけ、一般投資家のアジアへの信頼を奪うことを目的としている」

 「われわれはアルカーイダのアジアに動揺を与える能力や意欲についてやや軽視してきたようだ」

 「実際に東京の金融センターへのテロ攻撃はアジア全域の投資家をパニックに陥れ、経済成長全体を揺るがすから、アルカーイダにとっても重大な象徴的意味を持つ」

日本銀行本店
日本銀行本店。旧館(手前)と新館(東京都中央区)
(写真提供:時事通信。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うこと は禁じられています)

 「アジアの多くの国はアメリカや欧州諸国にくらべれば、イスラム系テロリストに対処した経験が少なく、攻撃の危険性に対しても敏感に反応しない傾向がある」

 以上のような「警告」は8月26日付のフィナンシャル・タイムズ一面に「アジアでのテロ攻撃の恐れ」という大きな見出しで掲載された。しかもその記事の本文には「ブリュギエール氏は最近の諜報での発見に基づいて、この警告を発したとみられる」と書かれていた。

 この言葉に出てくる「金融センター」というのは厳密には証券取引所や中央銀行のような金融関連中枢の施設を指すのだろうが、同時に東京や香港という都市自体がすでに金融センターの機能を果たしているという意味で単に都市そのものを指すのだともいえる。

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