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資産の運用利回りを上げる

 資産形成のためのゴールデン・ルールその2は、資産の運用利回りを上げることだ。ここで、国立公園の生みの親ともいわれ、多くの蓄財術や金銭哲学の著作を書いた本田静六(※1)の資産運用哲学を紹介する。

※1 本多静六:1866~1952年。日本初の林学博士。明治神宮、日比谷公園の設計に携わり、国立公園の生みの親といわれる。苦学して東京帝国大学を卒業後、25歳で人生計画を立て、貧しい学者生活の中から資産形成に励み40歳にして百億円余りの資産を築くも、60歳でそのほとんどを寄付。渋沢栄一、安田善次郎、後藤新平ら当時のトップ実業家の顧問としても活躍。その堂々たる蓄財術と人生哲学・金銭哲学は今でも多くの人を魅了している。著書は「人生と財産」「自分を生かす人生」など53冊に上る。

 本田静六は、著書「人生と財産」の中で、資産運用のための十分な元金の確保のために、本田式「四分の一」貯金法を勧めている。本多式「四分の一」貯金法の公式は、以下の通りである。

 つまりサラリーマンであれば、給与の4分の1と、アルバイトなどで得た臨時収入はすべて貯金にまわす、ということである。収入の4分の1を貯金にまわすのは、容易なことではないが、目標を決め、何が何でもやると言う気構えがあれば出来ると、本田は著書の中で述べている。

 まず、この元金がなければ、資産運用はできない。収入と支出のバランスがとんとんであれば、資産はほとんど増えず、逆に支出の方が多ければ、借金が膨らんでいってしまう。

長期投資と恐るべき複利の効果

 投資した元本を複利運用して元利金を2倍にするためには、『72の法則』といわれる下記の式に従い、どれだけの金利と年数が必要であるかを計算しなくてはならない。

 たとえば、金利1%で元本100万円を2倍にするのにかかる期間は、「72=1×年数」となり、その年数は72年である。1%の金利では元金を倍にするのに72年もかかってしまうのだ。

 かつての高金利時代、8%台で運用できれば10年も預けておくと元利金が倍になったのである。この理由は、複利計算をしているからである。複利とは、一定期間ごとに支払われる利息を自動的に元本に足し、これを新しい元本として利息計算される方式である。複利計算の式は以下のようである。

r:利率(rが10%なら、10/100で0.1となる) n:運用年数を累乗

 たとえば、年1%の複利商品で200万円を5年間運用した場合、5年後の元利合計は、

となる。さらに、以下の例で説明しよう。

 100万円を、(1)日本国債により利回り0.9%で運用した場合、(2)米国S&P500(※2)の平均運用利回り11.4%で運用した場合、(3)米国の投資運用会社キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーの『ジ・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ』ファンドの過去68年間の平均利回り13.2%で運用した場合の相違を見てみよう。

※2 米国S&P500:アメリカの主要会社500の株価指数。日本の日経ダウ225にあたるもの。

100万円の運用を3つの利回りで比較した場合

 以上の数字から分かるように、金利の高低により10年後の元利合計額はさほど変わらない。40年後になると0.9%の金利では100万は143万にしか増えないが、13.2%の金利では、1億4250万にもなり、約142倍になっている。また、金利差が1.8%しかない11.4%と13.2%でも、40年後元利合計の差は倍近くにもなるのである。複利は指数曲線を描くため、期間が長ければ長いほどその金利差により元利合計額の差は拡大するのである。

 22歳で大学を卒業し、社会に出て最初にもらったボーナス100万円を年平均利回り13%複利で40年運用できるとすると、その100万円は、62歳のときには1億4千万円となるのである。これこそ、ファイナンシャル・インデペンデスであり、複利による長期運用の凄さであろう。日本でもそのような長期運用に耐えられる金融商品が生まれてくることを願うばかりである。

 さて、複利の金融商品としては、以下のような商品がある。金融商品としては単利よりは複利、さらに1年複利よりは半年複利、半年複利よりは1カ月複利の方が有利になる。

 昨今人気の「毎月分配型」投資信託は、この複利の考え方からすると不利な商品になるのであるが、残高4兆円になる分配型ファンドもある。つまり利回りが良いのであれば、分配をせずに運用に回した方が投資家にととってはなはずだが、毎月、決まった日に分配金が分配され、3~4%の年利があって、銀行預金よりも利回りが高いというので人気があるという。但し、分配金にはその都度課税される。

 
 

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