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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

第96回
忍びよる“日本版サブプライムローン”の影

さくら事務所取締役会長 長嶋 修氏
2008年11月12日

 山一證券が1997年に破綻した翌年の1998年、小渕政権は、住宅建設を重要な景気浮揚対策と位置づけ、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)を通じ、米国のサブプライムローンと同種のローンを国策として推進した。

 まず、住宅金融公庫の貸出金利を年2.55%から史上最低の2.0%に設定。その代わり「段階金利」といって、10年後には2倍の4%にハネ上がる仕組みだ。また、より多くの人に借りてもらうため、融資条件も大幅に緩和。それまで、都市では500万円以上、地方は400万円以上の年収が必要であったものを、それぞれ400万円と300万円に条件変更。さらに、頭金として物件価格の2割を用意する条件だったものをなんと、頭金ゼロでも構わないとしたのだ。

 こうして、年収の低い人、自己資金を持たない人が、マイホームを持つこととなった。わたしはこのとき売る側にいたが「買わなくてもいい人」「買ってはいけない人」の多くが、政府の施策にのって新築住宅を購入してしまったと感じた。そしてこの経験が大きな動機の一つとなって1999年、個人向け不動産コンサルティングを手がけるさくら事務所を立ち上げたという経緯がある。

 2.0%だった住宅ローン金利が4.0%になれば、返済額は1.2倍になる。例えば当時の借入額が2000万円の場合、支払いは毎月6万6252円であったものが8万2506円に増加。借入額3000万円なら、月の支払い約9万9378円が約12万3759円へと、一気に2万4381円も増える計算だ(返済期間35年・元利均等返済)。

 このローンを返済中の人は、2008年3月末時点で7万1302人、残高は1兆1205億円だが、11年目を迎えるにあたり、ローン支払いはこれから順次上昇していくことになる。金利引き上げを迎えるのは、1998年10月16日~12月27日の融資申し込み分であるが、ローンは住宅の引き渡し後から開始されるため、2009年初頭あたりから順次、適用金利の上昇によって支払いに苦しむ人が出始めるのは規定路線だ。

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