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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

中古住宅の促進策、案は出そろっている

 中古住宅流通を促進するためにやるべきことは、既に国土交通省や外郭団体などにおいて十分に話し合われており、ほとんど決まっている。後はそれらを実行するだけだ。具体的には、「耐震診断の促進」「耐震・断熱改修の促進」「建物調査(インスペクション)の普及」「住宅データの整備」「税制での中古住宅流通バックアップ」「フラット35などを使った、融資面でのバックアップ」「中古住宅査定方法の抜本的な改正」など、中古住宅市場の整備に焦点をあてた総合的な治療だ。

 ポイントは「土地本位制から建物本位制への転換」である。これまでの日本は、不動産といえばあくまで土地が重要で、建物はあたかも耐久消費財のごとき扱いであった。ゆえに、新築を買って住んだ瞬間に、15~20%も価値が落ち、築10年で半値、25年程度で限りなくゼロになるという代物であった。土地2000万円、建物2000万円、合計4000万円の新築住宅を買っても、住宅ローンを払い終わるころには建物の価値がゼロになるから、資産価値は土地代のみの2000万円。これで地価が下落していたら目もあてられない。

 都心から30分~1時間圏内に住む60代の夫婦。25~30年前、4人家族で4LDKの新築を買って住んでいたが、子どもが独立、夫婦で広い4LDKに住んでいる。2階にあるかつての子ども部屋は物置状態だ。

 ライフサイクルの変化に伴い、本来、彼らにはさまざまな選択肢がある。「近隣にある小ぶりな住宅に住み替える」「駅前のマンションに住み替える」あるいは「都心部のマンション」など。「建て替え」という選択肢もある。だが、多くのケースで、これらのことを実現できるのはまれだ。なぜなら、どれを実行するにしても、建物の価値が大きく値下がりしてしまっているため、千万単位のお金が必要となるからだ。だから多くのケースで、消極的な「リフォームをしてそのまま住み続ける」という選択肢を選ぶこととなる。

 もしも今住んでいる建物の価値が下がらなければ、それはまさに貯蓄をしているのと同じ効果があり、住み替えの選択肢はもっと広がる。自宅を年金代わりに使える「リバースモーゲージ」も有効に利用することができるため、住宅を購入したことがまさに資産形成につながる。貯蓄をしているのと同じということになるのだ。

 ポイントは「建物に価値を持たせること」。地価は都心部の超一等地をのぞいて徐々に下落していく。そこで、10年で半額、25年程度でゼロとされ、耐久消費財扱いをしている建物に、価値を持たせることにするのだ。

 中古住宅市場を整備することは、ほとんど住み替えしない国民が、一生のうちに何度も住み替え、リフォームやリノベーションも盛んに行い、場合によっては2地域居住も行うなど、安定した内需の基盤となる。住宅が本当の意味で資産として機能してこなかったのに、せっせと新築住宅を買ってくれた国民に、住宅業界は感謝しなければならないだろう。ハウスメーカー、ビルダーなどの住宅メーカーがブランド価値を追求するなら、中古市場で評価されなければならない。その前提として、中古住宅市場の整備は不可欠である。

 なにより、中古住宅がきちんと価値・資産性を持つことで、生活における根源的な安心感が得られることは、国民として幸福だ。いざとなったら売ることもできるし、リバースモーゲージで、年金代わりにもなる。GDPなどの売り上げ規模や、年収などの所得の多寡より、実質的な幸福感や安心感を提供する国づくり ―― その基本は、住宅政策、不動産市場の整備にあり、ポイントは新築ではなくむしろ中古住宅だ。

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