第44回
このマイホーム、問題あり ― 写真で見る建物調査・第2弾
さくら事務所取締役会長 長嶋 修氏
2006年8月2日
つい先日、わたしは不動産情報・知識を集約した“不動産情報図書館”Webサイトを開設した。サイト名は『不動産市場最前線』。オープンして日が浅いにもかかわらず、アクセス数は相当な数に上っている。
ここ最近の、マイホームに関する知識の獲得意欲には驚くばかりだ。マイホームに関しては、実践的かつ現実的な情報が絶対的に不足している。そうしたなかで、本質的な情報をどん欲に求めていきたいということだろう。その事実に、日々身が引き締まる思いがする。販売の現場においても、プロ顔負けの質問をしたり、哲学まで昇華させた独自の住宅観を持つ購入者が目立ってきたという。
一方で、物事の一面のみをとらえた情報や知識が一人歩きしているケースがままある。そうした情報を元に、短期的な視点で行動を起こす人も業界・購入者ともに少なくない。
日本銀行が7月14日の金融政策決定会合で、ゼロ金利を解除したことでも、様々な情報と見解が飛び交った。
金利は今後も基本的に上昇基調に向かうことを織り込みながらも、当局は急激な上昇は好ましくないとしてそれなりの調節機能を働かせると宣言した。このことから、住宅ローン金利の急激な上昇はないと見ていいだろう。だが利上げ議論が過度ににぎわい、そのことがともすると金利の先高感を喚起しているようだ。既にマイホーム購入の世界では金利上昇懸念から住宅購入を急ぐ人が増えている。
しかし住宅ローンの利用者が考えるべきことは、今回の金利上昇ではない。検討すべきは、あくまでも長期的な金利動向であろう。そのうえで、借入額や借り入れ期間、借り入れ商品タイプを決定する必要がある。短期的な情報のみに左右されるのでなく、自身のライフスタイルと住宅とのかかわり方について、時間軸を長くとらなければならない。
いずれにしても、住宅購入にあたって絶対的に不足していると思われるのが長期的な視点だ。前回コラムからお伝えしている建物に関する意識もしかり、である。
あなたがこれから建てるマイホームには、ほとんどのケースで25年や35年、あるいはそれ以上の期間で住宅ローンを設定するだろう。自己資金と合わせて千万単位のお金を投入するのだから、可能な限り長持ちする建物にしたいというのは誰もが願うはず。
しかし残念ながらわたしたち日本人は、建物に関するリテラシーが極端に低いといえる。日本の住宅査定方法が表面的で、本当の価値の見極め方が確立されてこなかった業界の問題、土地に価値を見出してきた一方で建物にはプライオリティーを置いてこなかった国や不動産市場の問題などがその背景にある。そうでなければ20年で価値がゼロになることなど、決して常識にはならなかったはずだ。
おしえてBP!
住宅
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