ヴィンテージ住宅の最低条件
そういった情報格差に対し、ついに国も重い腰をあげ、具体的な対策がとられはじめた。すでに、2つの画期的な取り組みがなされている。
ひとつはマンションの場合、マンション管理状況の可視化を目的とした、今年4月から一般公開される「マンションみらいネット」。もうひとつは、来秋から運用を予定している住宅成約価格情報の無料公開「レインズマーケットリサーチ」だ。
いずれも、住宅市場における最大の課題である情報格差の解決に大きな役割を果たし、流通を活性化し、結果として住宅の資産性に影響を及ぼすことは必至である。
また、経済産業省と国土交通省は共同で「住宅ストック利用促進研究会」を立ち上げた。両省のコラボレーション自体、かつてない画期的なことであるが、この委員会とはまさに、「個人資産である住宅を社会資産ととらえ、そのためにどのようなことができるか」を検討する委員会。私は、そこで委員を務めさせていただいている。
ここでは、「中古住宅のデータベースをどのようにつくるか」「住宅部材を効率よく流通させるために、どういったことができるか」などについて、活発な論議が行われている最中だ。
詳細はこれからの話となるが、大きくいえば「竣工図書」「施工プロセスのデータ」「メンテナンスの履歴」3点セットの有無や、その他具体情報が盛り込まれることになるのではないだろうか。
冒頭にもすでに述べたとおり、現在は、住宅市場が歴史的な変化を遂げる一大転換期だ。
自身のみならず、将来へわたって受け継げるような、「ヴィンテージ住宅」たりえる住宅を選択し、その維持・保全に努めることこそが、我が国に住まう者としての義務であるという常識ですら、醸成される日もそう遠くはないだろう。
これからの新築住宅は、きちんと設計し、きちんと施工し、予防的で適切なメンテナンスを施し、それらの記録をすべて残しておくこと。同じくこれからの中古住宅は、耐震診断を行い、場合によってはしかるべき対処を施すこと。
そして新築・中古住宅共に、先にあげた「竣工図書」「施工プロセスのデータ」「メンテナンスの履歴」3点セットを、住宅の履歴書として大切に管理・保存しておくこと。これがヴィンテージ住宅となるための最低条件といえよう。
ヴィンテージ住宅は永らくその価値を維持し続ける。しかしそうでない住宅は、資産性の維持はもちろん、信頼性や安全性、快適性に疑問があるとして敬遠されるような峻別が、近い将来必ず行われることになるだろう。
おしえてBP!
住宅
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