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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

永住したいなら外せないスペック【可変性】をチェックしよう

 入居後の方々からの相談で一番多い【上下階の音】に対し、入居前の方々が一番興味を持っているのが【可変性】である。

 ところで、可変性とは何だろうか? 永く住まう間の家族構成の変化やニーズの変化によって、その時々で変わる必要な間取りに、物件はリフォームでどれだけ対処してくれるかを図るものが可変性だ。

 検討している物件が将来、どれほど可変性のポテンシャルがあるのか、永住を意識する方々が増えた昨今、強く意識されるようになったのは必然の流れであろう。

 一言でリフォームといっても、実は大きく2種類に分類される。設備機器を一新したり、大きなリビングに変更、床や壁の建材を貼り替えるといった【便利で快適なリフォーム】と、加齢やハンディキャップを抱えてしまったことで既存の間取りでは生活が困難になり、車いすや介護上無理なく移動できる動線の確保を考えた【生きるためのリフォーム】である。

 現在供給されている物件はどれも、便利で快適なリフォームを行なうことはある程度可能だ。

 一方、生きるためのリフォームに対応できる物件は1割にも満たないのが現状。これは無理もないことで、購入者がそこまで想定せず、求めてもいないためである。故に売り手もそこまでの可変性は想定しないという、寂しい悪循環がおきているのだ。

 販売の現場で、「可変性に配慮した二重床」と説明している物件は多い。しかしこれだけでは、先述の2種類のリフォームには対応できない可能性が高い。間仕切り壁をとって部屋を広くするような【便利で快適なリフォーム】では、むしろ二重床工法がデメリットになってしまうことさえある。

 イラストをご覧頂きたい。二重床工法(右側)は先に間仕切り壁を施工し、床や天井は後から施工されるのが一般的だ。

 壁で仕切られた両側の床や天井には、必ず若干の誤差がある。これは人の手による手造りである以上、仕方のないことだ。

 このときに、簡単なリフォームで広い部屋が確保できると判断してしまうと、床と天井に誤差を残したまま完成させてしまうことがある。きれいに造り込むためには、片方の部屋の床や天井を一度解体し、高さを合わせて再施工といった、意外な大工事になる可能性もあるのだ。

 これに対し直床・直天井工法は、コンクリートの躯体が内装工事の前に精度を調整してあるケースも多く、間仕切りを撤去するリフォームには適していることも。

 このように、必ずしも二重床だからリフォームに万能な工法、とは言えないのである。

 更に、【将来配管が変えられる二重床】と説明している物件についてはどうだろうか?問題は、床下のクリアランス。二重床物件の床下は、概ねこのような形状になっている。

 図中の段差スラブとは、その名のとおりコンクリートスラブに段をつけること。

 多くの物件では、ユニットバスの入り口をフラットにするために採用される工法だが、この範囲が広大であればあるほど、図らずも【生きるためのリフォーム】には有利となる。

 給水・給湯管は、わずかなすき間さえあればほぼ室内の至るところに配管が移動できる。天井裏に配管することも可能だ。しかし排水管は、床下で勾配をつけてPS(パイプスペース)の縦排水管まで配管しなければならない。ここで床下のクリアランスが非常に重要になってくるのだ。通常排水管の径は以下のとおり。

 ・洗面室周りの排水管 直径50mm
 ・キッチンの排水管 直径50mm
 ・トイレの排水管 直径75mm

 一般的な二重床の仕上げ面は、コンクリートスラブから120mm程度。そこにはトイレの排水管は設置できないことが、上の図からお判りになるだろうか?トイレは床下に十分なクリアランスがなければ、移動できないのである。

 「少しだけ向きや位置をかえれば、車いすのままトイレが使用できるのに」、「ユニットバスの入り口が居室側に変えられれば・・・」。床下のクリアランスがないために、【生きるためのリフォーム】が困難になるのはこのためだ。

 床下のクリアランスは、物件単位で一律の場合がほとんど。しかし、段差スラブの範囲は物件のタイプによって異なる。『設計図書』を読み込むことができれば、自分でもその範囲と高さを確認することは可能である。難しい場合は、担当販売員に尋ねてみるとよいだろう。その際、室内にあるPS(パイプスペース)には何の排水管が接続されるのかも確認しておこう。建築の専門知識がない販売員でも、設計者を介して説明してくれるはずだ。

 そこで検討物件の間取り図に、わかった範囲と高さを記入すれば、おのずと将来的な【生きるためのリフォーム】の可能性が見えてくるだろう。

床下クリアランス-120mm
段差スラブ部床下-220mm

 検討物件の、気になる音や可変性への配慮は自分でも十分確認できる。自分や家族が物件に何を求め、何を優先させるのかをしっかり認識し、その物件はそれらを満たしうるかの確認を怠らず、永らく快適に住まえる納得の物件を手に入れていただきたい。

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