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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

第105回
麻生総理も聞いた「住宅政策」の有効性

さくら事務所取締役会長 長嶋 修氏
2009年3月25日

 国の産業全体の構造や社会システムそのものがもう古くなってしまったのが、現在の日本である。そのままでどうにか継続するために、短期的な消費を促すカンフル剤を打ち続けても、やがてすぐにまた苦しくなるだけで、根本的な解決にはらない。

 政府が総勢83名から話を聞く、経済危機克服のための「有識者会合」が16日から行われており、首相官邸ホームページ には、有識者の名簿や提出資料が掲載されている。

 この中で住宅政策について挙げたのはお二方。

 岩沙弘道氏(社団法人不動産協会理事長、三井不動産株式会社代表取締役社長)は「内需拡大のための住宅需要の喚起」として

   1.住宅ローン減税を需要増につなげるための住宅ローン拡大策の実施
   2.エコ対応等住宅関連設備機器の購入拡大のための助成

を挙げている。時間がなかったのか、資料は個条書きの簡単なものだ。岩沙氏は、国土交通省の委員会ではもう少し建設的な発言をしていたと記憶している。

 2.は確かにそのとおりであり、太陽光発電をはじめとする機器の助成は、住宅政策のみならず産業政策としてもっと強力に推し進めていい。しかし1.はどうか。意図が読み取れないが構想の全体像を伺いたいところだ。融資を緩和するなど、たんに住宅ローン拡大策を採ることは、いくら即効性のある施策が求められているとはいえあまりにも近視眼的。住宅ローンの融資枠を拡大して住宅購入を促す景気刺激策は感心しない。

 自民党は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の長期固定ローン「フラット35」について、住宅購入時の頭金を不要にする制度改正案をまとめた。これは簡単に言うと、これまで物件価格の90%を融資上限としていたものを、100%にまで拡大することで、頭金を用意できない層にも住宅購入を促そうとしているものだが、この方策は「サブプライムローン的政策」だ。もし頭金ゼロで新築住宅を購入したら、家計内不良債権の発生が確定してしまう。例えば4000万円(土地2000万円、建物2000万円)の新築住宅を100%ローンで借りた場合、現在の中古住宅査定では、住み始めた瞬間にその住宅の市場価値は3600万円になる。一方で住宅ローンはまるまる4000万円残っているということになってしまうのだ。

 もしこのような政策を採るなら、新築住宅が売れたあと、中古住宅の価値が落ちない仕組みを同時につくるか、一定額で国による買い取り保証でも付けなければならないだろう。

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