第100回
新しい住宅市場への転換を急げ!
さくら事務所取締役会長 長嶋 修氏
2009年1月14日
さて激動の2009年がスタートした。
2009年度の日本経済の実質成長率見通しについて、民間予測はマイナス1%程度が大勢だ。日銀は、中長期的な経済予測「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示す2009年度の実質国内総生産(GDP)成長率の予測を、マイナス1%前後へ修正する方向で調整に入ったという。
それに対して政府は、経済対策による景気の下支え効果を見込んで、09年度の実質成長率見通しは0%だというのだが、問題は、政府の見込む経済対策が本当に有効に機能するのかということだ。わたしはこの点について疑問を持っている。補正予算にせよ何にせよ、あまりにも政府の対応が遅すぎると感じるというのが一点。定額給付金の話などは既に賞味期限切れの感があり、もはやいったん話をゼロベースに戻して、いま最も有効だと考えられる方向を検討したほうがいいのではないだろうか。
もう一つは、政府が今回の景気後退をどのように位置づけでとらえているのかということ。100年に一度の危機は、景気循環論的な景気後退ではない。我が国の産業構造を根本的に転換する必要に迫られているのだ。世の中には既にモノやサービスがあふれている。構造的に、もはやこのままではやっていけないことは、多くの業界で理解されていることだろう。不動産・建設業界だけを見ていてもそれは明白だ。
我が国には既に700万戸をはるかに上回る空き家がある。それでもまだ新築住宅を造り続けるのか。これまで景気対策の道具として使われてきた新築住宅だが、団塊ジュニアも既に大半が住宅を購入してしまったものとみられ、相当の需要先食いをしている。首都圏の新築マンションはこれまで8万戸・7万戸・6万戸と推移してきたが、昨年はついに4万戸にまで落ち込んだ。
この戸数を回復させるためにまた景気刺激策を打って、結果として未利用の空き家がどんどん増えるという構図を、日本はずっと続けてきた。実質的に公共工事を行っているのと同じで、価値がどうせゼロになる住宅を造って買わせるというようなことは、続けていられないのだ。
日本の住宅投資は毎年およそ19兆円。これが造ったそばからどんどん価値が落ち、25年程度でゼロになってしまう。10年で190兆円、20年で380兆円の損失だ。これだけの富を、これまでわたしたちは失ってきたのである。一向に富が積み上がらないのだから、いつまでたっても豊かになどなれるわけがないではないか。
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