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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

第8回
中古住宅選びでババを引かない方法はこれだ!
~建物調査をしっかりやれば、思わぬ拾い物も~

さくら事務所コンサルタント 上田 剛史氏
2005年9月5日

中古住宅に対する不安が拭えないわけ

 不動産を購入する際、多くの方が「値下がりしにくい」ということを物件選択条件のひとつに挙げている。そして、本やインターネットなどで具体的内容を研究し、それに見合った物件探しを行なっていく。

 一般的にいわれている値下がりしにくい条件には、

「駅から近い」
「周辺の学校区がよい」
「ステイタス性のあるエリア」

 などがある。

 ここで、一つの疑問が発生しないだろうか?

 最も多く売買されている不動産とは「住宅」である。そのため、中古として売買される際には、ほとんどの土地の上に建物が建っているはずなのだ。しかし、前述のような「値下がりしにくい条件」を挙げる時、建物について触れられることは稀である。

 それには様々な理由が考えられる。中でも、以下に述べる2つの理由が大きいであろう。

 ひとつは、バブル経済期にあった「土地神話」。かつてのバブル経済期、土地の高騰によって不動産は、購入した価格よりも高値で取引されることが多くあった。そのため、誰しも土地の所有に強くこだわり、建物は軽視され続けてきたのである。その影響は、バブル崩壊後十年以上経過した未だに残っている。

 もう一つの理由は、信じがたいことかもしれないが、中古物件を取り扱う不動産業者自身、建物のことをよく理解していないということだ。それは、現在の中古物件の査定方法をみれば顕著である。

 中古の査定を行なう際には、物件周辺の過去の取引事例を目安として、そこから土地一坪当たりの単価(坪単価)を割り出す。そして単純に、その坪単価を査定物件の坪数に掛けるだけ。こと建物に関しては、築年数と広さでしか判断できないというお粗末さなのだ。

 「築20年を超えてはいますが、建物はまだまだしっかりしています。ちゃんと定期的に手入れもしているし、これといって悪いところもありません。ですから建物の価値もしっかり評価してください。」

 「そうですね。見た目も綺麗ですし、そのお気持ちは解ります。とはいえ、築20年を超えているので建物の価値はあまり評価はできないですね。」

 これが、売主と査定に来た不動産業者間で日常的に繰り返されている会話である。

 では、古い建物には本当に価値がないのだろうか。

 答えはNO。古くてもしっかり建てられ、丁寧にメンテナンスされていれば、工期に追われつつ低予算で建築されてしまった新築などとは比べ物にならないくらい、良質な建物も数多くある。

 単純に「古い=悪い」といった考え方はナンセンスだ。それは、建物の本当の質を見極められない不動産業者が作りあげた悪しき慣例に過ぎない。

 この世の中には、古くてもその価値を認められているものが多く存在する。ワインや車、ジーンズなどがいい例である。良質の材料を使用し、高度な技術を持った者が手を加え、しっかり管理されていれば、その積み重ねた歴史の分だけ、新しい物よりもはるかに高値で取引されることが珍しくない。一般的にこのような商品は「ヴィンテージ」と称される。

 住宅においても、そのような条件を満たしている「ヴィンテージ」な住宅は当然ながら存在している。さくら事務所ではそれを「ヴィンテージ住宅」と呼び、その価値を世の中へ提唱しているのだ。

 現在の中古住宅マーケットには、馬鹿げた査定方法で価格を決められ、一律的な安値で売り出されているヴィンテージ住宅が眠っている。逆に言えば、購入者側にとってこれは、大きなチャンスとなる。

 一方で、残念ながら中古住宅マーケットには、どうにも良質とはいい難いものも多く存在するのが現状。そして、誰もがそこにリスクを感じるのだ。

 「欠陥住宅ではないのか?」
 「見えないところに問題はないか?」
 「建物の寿命はどれくらいか?」
 「修繕にはどの程度の費用がかかるのか?」

 こういった大きな不安が拭えない。中古住宅といっても、決して安い買物ではない。だからこそ、前述のような不安が解消されない限り、なかなか中古住宅の購入には踏み切れないものだろう。そして結局、リスクの少ない新築の選択が増加することとなる。

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