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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

第5回
「欠陥住宅」はどうしたら避けられるか(3)

さくら事務所コンサルタント 大下 達哉氏
2005年8月5日

 前回は、欠陥をふせぐための一戸建て建築現場チェックポイントとして、基礎部分について解説した。基礎の工事が終わると、次は建物のチェックである。

 木造一戸建ての建物において構造部分に問題が出てしまった場合、基礎に問題が起きた場合と比べると、比較的容易に修繕することができる。しかし、それは室内の仕上げが行われる前までの段階。室内の仕上げが始まってしまうと、修繕に手間がかかってしまうため、構造部分の問題は早めに見つけて対処しておきたい。

 本稿では、その構造部分の具体的なチェックポイントについて、今回もさくら事務所の不動産コンサルティングサービス「達人の品質チェック」における現場実例をもとに解説していきたい。

一戸建てに多い構法

 現在日本の一戸建てで多い構法は、軸組構法(在来工法)と、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)。住宅金融公庫の調査では、この2つの構法で全体の75%を占めている。

 軸組構法が全体に占める割合は年々低下しており、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)の割合が徐々に増えている。地域別では、北海道、北陸、九州では軸組み構法の割合が全国平均より10%以上高く、逆に首都圏、東海、近畿など人口の多いところでは、軸組構法の割合が低くなっているようだ。

 現場に出ていると、軸組構法を手がけていた職人が枠組壁構法(ツーバーフォー工法)に流れているという話を聞くことがよくある。

 ツーバイフォー工法がオープン化されて約30年が経ち、ツーバイフォーという言葉も十分に一般化している。部材の効率の良さ(合理性)や、施工の容易さ、構造の明確さなどから、今後もしばらく枠組壁構法(ツーバイフォー工法)が採用される件数は増えていくのではないだろうか。

 本稿では、この2つの構法における建築中のチェックポイントについてみていくことにしよう。

軸組構法(在来工法)におけるチェックポイント

・骨組みの確認

 軸組構法(在来工法)は、骨組みとなる柱や梁を組んでいく工法であり、それらの部材は構造上、非常に重要となる。まずはそれらの部分に、配線や配管などを通すための大きな穴や欠き込みがないことを確認しよう。

土台の欠き込み

梁を貫通した配管

 建物の骨組みを作る大工が、重要な部材を大きく欠いたり貫通させたりすることは少ない。そのような問題を起こすのは、設備配管を担当する業者であることが多いのだ。これは、天井裏や床下にスペースが無いときに起きやすく、構造に詳しくない人が作業に関わる場合、問題ある施工をしてしまうことが少なくない。

 この問題を防ぐためには、設計の段階であらかじめ配管を通すスペースを確保しておくこと。配管を通すスペースは、上下方向だけでなく、床下や天井裏を通る水平方向についても検討しておくことが望ましい。

 もし建物の骨組みに大きな欠きこみや貫通があったら、可能な限り材料を新しいものに替えてもらおう。新しい材料に交換できない場合、何らかの補強が必要である。

・金物の確認

 骨組みに大きな欠きこみなどが行われていないことを確認したら、次は金物を確認。軸組構法における金物は、地震で揺れたとき「ねばり」を出すために、とても大切なものだ。

 平成12年(2000年)に建築基準法が変わり、金物の取り付け位置や数が細かく規定され、全体として金物の量が大幅に増えている。また、建物が地震から耐えるための耐力壁の配置に関する規定も設けられ、全体として耐震性能は大幅に上がっていると考えてよいだろう。

 建築基準法改正から今年で6年目になるが、実際の現場においていまだ、この法改正を知らずに設計・施工されていることがある。さくら事務所では、今年に入ってからだけでもそのような現場を数件見ている。ちなみにその中の1件は、さくら事務所が構造部分のチェックを行ったときに行政の中間検査も行われた。そして、法規を満たしていないにも関わらず、その検査を通っているのだ。

 これまでのさくら事務所の経験からみるに、行政における検査は厳しくない場合が多い。特に、外部委託検査の場合は顕著である。耐震性に影響がある部分の検査が甘いのは大問題だ。しかし、そういったことが行われている現状がある。安心な住まいを建てるためにも、建築途中のチェックは欠かせない。

 耐震性に大きな影響を与える金物。その選び方には3通りの方法がある。

 1. 一覧表によるもの
 2. 金物だけの簡易計算によるもの(N値計算)
 3. 建物全体の構造計算によるもの

 3階建ての場合、必ず3番目の「建物全体の構造計算によるもの」となる。

 ちなみに同じ建物でも、1.の方法で金物を選んだ場合が一番金物の数が多く、3.の方法で金物を選ぶ方が金物の数は少なくなる。一覧表による金物選びでは、計算を簡単にするかわり、安全のために金物の数を多く見込んでいるためだ。

 金物の取り付けを確認する前に、設計者あるいは施工業者に、どの方法で金物の位置と種類を選んだのかをあらかじめ聞いておこう。金物の取り付け図がもらった図面の中に詳しく明記してあるなら問題ないが、それらが明記されていない場合には要注意である。

 金物の種類やその取り付け位置は、木造の構造に詳しい専門家であれば実際の建物を見ただけで分かるが、一般の人、また建築の関係者であっても、木造にあまり関わっていない人には、その判断はなかなか難しいのだ。

 金物の確認は、金物の取り付け位置を示した図面を設計者、あるいは施工業者からもらい、施工業者と一緒に取り付け状態を確認するのが理想的である。

・現場での確認

 図面を入手できたら、筋かいや構造用合板の取り付け状態を見ていこう。筋かいは、柱と柱の間に斜めに入れ、その端には「筋かいプレート」などと呼ばれる金物を取り付ける必要がある。取り付け方法は金物の種類によって異なるが、規定のビスが必要本数しっかりと入っているかどうかを確認しよう。

 筋かいをたすきに使う場合、筋かいや柱を欠き込んでいないかどうかを確認。筋かいは、太さが9cm以上の場合は補強を行えば欠き込んでも良いが、それ以外の時に欠き込むと、強度が大幅に低下してしまう。

筋かいを欠き込んだ例

柱を欠き込んだ例

 筋かいや構造用合板が取り付けられている柱には、アンカーボルトが土台に取り付いているかどうかの確認も必要だ。アンカーボルトが取り付いていないと、地震のときに土台が浮き上がってしまう。アンカーボルトは、基礎図面の段階でしっかりと検討されていれば問題になることはない。

 軸組構法(在来工法)では、金物の取り付けに関するミスが意外と多い。金物の取り付けで問題があったときに大切なことは、ミスを責めることではなく、それをどのように修正するかということ。骨組みの段階であれば、修繕は簡単だ。できるだけ早く直してもらおう。

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