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不動産の達人が教える「失敗できない時代の住宅選び」

第4回
「欠陥住宅」はどうしたら避けられるか(2)

さくら事務所コンサルタント 大下 達哉氏
2005年7月29日

 家を建てる際の最大の不安、「欠陥住宅」。前回は、欠陥を防ぐためにまず図面の段階で知っておきたい建物に関する考え方を説明した。今回はいよいよ、その図面どおりに建物が建てられるかどうかの具体的なチェックポイントを、さくら事務所の不動産コンサルティングサービス「達人の品質チェック」における現場実例を交えながら見ていくことにしよう。

基礎のチェック

 図面が完成したら、次は基礎工事のチェックが重要となる。基礎は、建物を作る上で非常に重要な部分であり、基礎に問題があれば当然、その上の建物も良いものはできない。 では具体的に、建物の本質な部分とは何だろうか。間取りか、内部の仕様か。

 基礎は、鉄筋とコンクリートから出来ている。鉄筋を配置した後、コンクリートを流し込んでいく作業となる。コンクリートが固まった後に鉄筋の位置を調べるには、専用の機材を使わないと不可能になるため、「コンクリートを流し込む前のチェック」が重要だ。

基礎の欠陥は、設計段階や施工の方法でほとんどが防げる

 さくら事務所では、建築主(施主)のご依頼に基づき、施工途中の物件のチェックを行っている。そのコンサルティング現場で実感する基礎段階に多い問題は、主に以下の3つだ。

 1. 鉄筋を包み込むコンクリートの厚み(かぶり厚)の不足
 2. スリーブや配管と鉄筋が密着している
 3. 基礎と土台を繋ぐ金物(アンカーボルト)の不足、位置の間違い、ずれ、傾き

 これらの問題はほとんど、設計段階や施工の方法で防ぐことができる。欠陥が起きてから物事に対処するより、あらかじめ欠陥を防ぐ方が簡単なのだ。

 では順に説明していこう。

1. 鉄筋を包み込むコンクリートの厚み(かぶり厚)の不足

 基礎のチェックで、最も起きやすいトラブル。

 コンクリートは圧縮力にはとても強いが、引っ張り力には弱い。一方鉄筋は、コンクリートの性質とは逆。両者の弱点を補うため、コンクリートの中に鉄筋を入れるのが普通である。

 そのとき鉄筋を包み込むコンクリートの厚みを、「(コンクリート)のかぶり厚」という。コンクリートのかぶり厚は、建物の耐久性に大きく関わってくる。

 コンクリートはもともとアルカリ性。鉄筋は酸に弱いが、アルカリ性のコンクリートに囲まれている間は、非常に錆(さ)びにくい。しかし年月が経つにつれ、コンクリートは大気中の炭酸ガスと反応して、徐々にアルカリ性が弱まり、中性になっていく。これを、「(コンクリートの)中性化」という。

 コンクリートが中性になると、中に入っている鉄筋が錆びやすくなる。そして水などが鉄筋に入ってしまうと、鉄筋が錆びて膨張するのだ。鉄筋が膨張すると、コンクリートを壊してしまい、強度が低下する。強度が得られなくなると、事実上、それが鉄筋コンクリートの寿命となる。

 かぶり厚が厚いほど、鉄筋の周辺が中性化するまでの期間を長くでき、結果として鉄筋コンクリートの寿命も延びるのだ。

 実際の現場において、かぶり厚の問題を生じさせないようにするためには、基礎の幅を広げてかぶり厚に余裕を持たせること。一昔前までは、基礎の立ち上がり部分の幅は12cmが一般的であった。しかし、今は15cmが一般的で、基礎の幅を12cmとしている業者は少数派である。

 現在の住宅金融公庫の仕様書でも、15cm幅の基礎を「標準」としており、12cmの幅は最低の幅となっている。

 実は、基礎の幅を12cmから15cmにしても、費用が大きく変わることはない。型枠を留める金具を変更するだけで、コンクリートを流す量もさほど変わりはないのだ。建物を長く使うためには、基礎の幅を15cm以上にするのが最低ラインだと私は思う。

2. スリーブや配管と鉄筋が密着している

 基礎の立ち上がり部分には、水道の配管やガスの配管などを通す穴が必要。これらの穴はコンクリートを流し込む前に、あらかじめ空けておくのが普通だ。この穴を空けるためには、スリーブ管と呼ばれるパイプをコンクリートを流し込む前に取り付けておけばよい。

配管と鉄筋が密着している例

支持具を使って、すき間を確保している例

 実際の現場において、このスリーブ管や、水道の排水管が鉄筋と密着していることがある。ちなみに、配管が鉄筋に密着していることに対し、問題意識を持たない施工業者は少なくない。

 基礎に流し込むコンクリートの中には石が入っており、その石の大きさは最大2cmのものが一般的。そのため、コンクリートをしっかりと隅々まで流すためには本来、それ以上のすき間が必要となる。

 この対策として、コンクリートを流し込むときにしっかりと振動をかけて隅々まで行き渡らせるか、空間を空けるための専用の支持具を使う。事前の問題回避には、支持具を使ってすき間を空けておいた方が良いだろう。大手ハウスメーカーでは、この支持具使用を標準としているところも多い。

3. 基礎と土台を繋ぐ金物(アンカーボルト)の不足、位置の間違い、ずれ、傾き

 地震で建物が揺れると、建物の土台には浮き上がろうとする力が生じる。浮き上がりを防ぐため、土台と基礎を金物で繋ぐ。この金物をアンカーボルトという。

 アンカーボルトは、力学的に考えて必要な箇所に入れるようになっている。アンカーボルトを入れる位置は、住宅の構法によって異なる。

 住宅金融公庫の仕様では、アンカーボルトを入れる位置は以下のようになる。

軸組構法(在来構法)の場合

筋かいを設けた柱の両側

構造用合板等を設けた柱の両側

継手の上木側

継手の上木側

枠組壁構法(ツーバイフォー構法)の場合

隅角部(ぐうかくぶ)付

継手付近

それぞれの間隔は、2m以内

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