第31回
車が水没、そのときあなたは?
― “身近な緊急事態”への対応マニュアル ―
松村テクノロジー社長 松村 喜秀氏
2008年9月12日
さる8月16日、鹿沼市で東北自動車道の下をくぐる市道が冠水し、自動車が水没して運転していた女性が亡くなった。痛ましい事故で、ニュースを見ていて胸が張り裂けるような気持ちだった。
情報が錯綜し、結果として救助に行かなかった消防署や警察には、もっとしっかりした危機管理の体制を整備してもらいたい。
昨年、わたしが地方に釣りに出かけたときのことだ。港に止めてあった1台の車が、なぜかバックで走り出し、ストッパーを乗り越えて海に落ちた。
そのとき、わたしは釣り船に乗っていたのだが、最初、何が起きたのか分からなかった。すると、一人の男性が飛び込み、ゆっくりと沈んでいく車の周りを泳いで何やら伝えようとしている。運転手は気が動転して、シートベルトをしたままハンドルを握りしめていたのだ。ようやく、事の重大さに気づいたわたしは大声で、「シートベルトを外せ!」「窓を開けろ!」と叫んだが、聞こえない。
船長に頼んで、沈んでいく車の近くまで行き、また叫んだが、運転手は動かない。船長が飛び込んだものの、70歳の彼にはどうにもできない。
しばらくして消防車と警察が到着した。ところが、車が沈みかけているのに、警官は車が落ちた場所をメジャーで測っている。潜水夫とおぼしき人は、水深を気にしている。「何をやっているんだ。救助しろ!」と言っても誰も海に飛び込まない。
車は完全に水没し、友人らしき人がまた飛び込んで水に潜り、ようやく運転手を引っ張り出した。意識を失っていた。救急車で搬送されたが、後で聞いたら残念ながら亡くなったということだった。
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