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犯罪に立ち向かうテクノロジー

吉田拓郎さんの『襟裳岬』が好きだった

 長井さんの仕事熱心さは並はずれたものだった。どんなときでもビデオカメラを離さず、複数の電池パックをとっかえひっかえ付け替えていた。

 ある危険地帯での偽札取材の時、わたしも恐くて行けないところに彼は物怖じせずどんどんと入り込んでいった。そこで、やはり現地人とトラブルになって、身の危険を感じて逃げたのだが、何でも撮ってやろうという情熱には敬服したものだ。

 彼の取材スタイルは、いつも軽装で民衆の中に入り込んでいく。現地人になりきろうとするかのように、東南アジアでも生水を飲み、どんなものでもためらわず食べた。それで彼がお腹を壊しているところを見たことがない。

 反政府デモでも民衆の中に入り込んでカメラを回していた。それがいつもの彼のやり方だ。だが、まさか背後から兵士に銃撃されるとは思いもよらなかっただろう。あるいは覚悟の上だったのかもしれない。

 一度、長井さんに「結婚したらどうか」と言ったことがある。

 すると彼は、現場が好きで家にいることができないので家庭を持つ資格はないと答えた。やはり最悪のことはいつも考えていたのだろう。

 バンコクで珍しくカラオケに入ったとき、意外にも長井さんが歌好きだということが分かった。作曲した吉田拓郎さんが自分で歌っている『襟裳岬』が好きだと言って、森進一さんとは違う歌い方で、2回歌っていた。その姿が目に焼き付いている。

 長井さんの供養のために、吉田拓郎さんが歌う『襟裳岬』のCDを買おうと思っている。合掌。

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