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犯罪に立ち向かうテクノロジー

第7回
偽造が簡単な硬貨と金券

松村テクノロジー社長 松村喜秀氏
2007年10月1日

 これまで何度か偽造500円玉の話をしてきたが、硬貨ほど偽造しやすい通貨はない。このことは何度でも指摘しておきたい。

 500円硬貨は1982年に500円紙幣の代わりとして登場した。これが旧500円硬貨である。広く流通している硬貨としては世界で最も価値の高い硬貨だ。一方、韓国の500ウォン硬貨は、日本円で価値は50円程度しかない。だが、大きさと重さはほぼ等しい。

 この500ウォン硬貨が500円硬貨に変造されたのだ。旧500円硬貨より少し重かったため、ドリルで削り、重さを調整した変造500ウォン硬貨が大量に日本に持ち込まれ、全国の自動販売機や両替機で使用された。

 99年には富山県で犯人が逮捕され、2000枚も押収された。

 ちょうど同じ年、ある数人のアジア系外国人がわたしの元に大量の旧500円硬貨を持ってきたことがあった。そのうちの一人が「これは偽造品であることは間違いないが、どこが本物と違うのか鑑定してくれ」という。

 旧500円硬貨は側面に「NIPPON」と小さな字で刻まれており、造幣局は簡単には偽造できない高度な技術と誇っていた。

 ところが、一目見ただけでは、本物と全く変わりない。ルーペで表面を見ても異常はない。表面を削って素材や削りカスを確認しても違いは分からなかった。

 さらに、詳しく調べ続けた。すると、裏面に微妙な加工のズレを見つけた。さらに、造幣局が誇っていた側面の「NIPPON」の刻み文字の一部にもわずかな傾きがあった。

 それは非常に精巧な偽造硬貨だった。しかし、わたしは持ち込んだ外国人に違いを教えなかった。彼らが、自分たちの作った偽物の精度を確認するために来たのではないかと思ったからだ。

 「鑑定料代わりに、1枚くれないか」と聞くと、彼らは「とんでもない」とばかりにわたしから500円硬貨をひったくって、帰って行った。

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