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犯罪に立ち向かうテクノロジー

第5回
偽の日本製パスポートは薬局で売っている

松村テクノロジー社長 松村喜秀氏
2007年8月31日

 かつて、外務省は「日本のパスポートの偽物など作れるわけがない」と豪語していた。

 確かに日本のパスポートにはさまざまな偽造防止の方法が取り入れられているが、世の中に偽造できないものなどほとんどないのだ。

 わたしはかつて捜査当局の依頼で、偽造パスポートを鑑定したことがある。紙の素材から刷り込まれた装飾模様、文字の書体、写真のページの透明フィルムなどを高倍率のルーペで丹念に調べたが本物と変わりがなかった。

 偽造の際に起こりがちな文字のつぶれなどもない。透かしもきちっと入っており、使われている蛍光物質も正規通りだった。写真の転写も色ムラ一つないのだ。光学分析機を使ってインクの成分まで調べたが、ついに違いは見つけられなかった。

 実によく出来ていて偽造と思われなかったが、その捜査当局は偽物であることは間違いないから、その証拠を捜し出してくれというのだ。

 わたしはため息をついて、再度、ルーペで逐一鑑定し始めると、何かに違和感を感じた。なんと、それは糸だったのだ。パスポートを綴じている糸が本物よりわずかに太く、二度縫いしていた。

 それを見つけたときは本当にうれしかったものだ。

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