第27回
飲酒運転から身を守るために
安全生活アドバイザー 佐伯 幸子氏
2006年10月26日
危険をどれだけ認識しているか
大きな社会問題となっているにもかかわらず、いまだに後を絶たない飲酒運転と事故。「飲むなら乗るな、乗るなら飲むな」当たり前のことが守られていない現状……。
飲酒運転は、もちろん運転する人の自覚の問題であり、極端な言い方をすれば、検問で捕まることはむしろ当人にとって自覚するために必要なことでもあるだろう。あるテレビ番組でキャスターが、「視聴者から、『地方では、車で飲みに行って車で帰宅するのは当たり前だという現状を理解していない』という意見が届いたのだが、こんなことを言ってくる人がいるということが信じられない」といったようなことを発言していた。
確かに地方においては(読者の皆さんに誤解してほしくないのだが、これはある特定の地域などを指して言っているのではなく、大都市部から離れた、いわゆる「車がないと“生活”に支障をきたすような」ところを総称している)、居酒屋やスナック、パブといった店舗に駐車場があるという“矛盾”した事実がある。もちろん、居酒屋やスナックなどを利用するすべてのお客がアルコール類を注文するのではなく、ソフトドリンクやコーヒーといったノンアルコールの場合も少なくないのだから、駐車場を設置していてもなんらおかしくはないのだが、普通に考えるとそうした店舗が夜に営業していると、アルコール類を頼むお客が多いことは誰でも容易に考えられることで、そういう意味で“矛盾”していると述べたわけだ。
断定は決してできないが、店舗側でも飲酒運転を黙認してきた側面はあるのではないだろうか。しかし、これだけ重大事故が発生して、多数の死傷者が出ており、連日のようにマスコミで報道されている現実を他人事と思っている人がいまだにいることは、悲しいことだが、これもまた事実だと思われる。
長年の飲酒運転(?)で、これまでは運よく無事故できたかもしれないが、それはたまたま運がよかっただけのことであり、一瞬の運転操作ミスで他人の生命を脅かし、自分の人生すらも台無しにしていたかもしれないという間一髪の危機を理解していないとしかいえない。
「文明の利器」を「走る凶器」に変えるのは運転者だ。アルコールのせいではなく、それを飲んで運転する者に責任がある。そんなことは誰でも分かっているはずなのに、平気で運転する人々の心理は理解できない。
「自分はお酒に酔わないから大丈夫」「運転には自信がある」「少しくらいなら平気」……どんな言い訳を言おうが、「飲酒運転」は法律で禁止されているのだ。飲酒運転は事故を起こさなくても、「免許停止」や「免許取り消し」になる。
繰り返しになって恐縮だが、誤解していただきたくないのは、法律で禁止されている、あるいは「免許取り消し」処分になる等の理由で飲酒運転をしない、考えるのではなく、飲酒運転をすることが、上でも触れたように「文明の利器」である車を「走る凶器」に変え、そして最悪の場合、多くの死傷者を出す危険性が大いにあるからだ。だから、飲酒運転は絶対にしてはならないのである。
事故を起こしたりして飲酒運転が発覚して報道されるのは、多くは公務員など報道価値のある者たちだが、その陰には大多数の一般の人たちがいる。事故を起こす危険性があり、死傷者を出しかねない危険行為であることを自覚できない者には免許を発行しないようにすべきではないかといった意見もあり、検問などの取締りを含めて今後の対策に個人的には期待するところだが、問題は飲酒運転の車による事故に遭わないために個人個人できることはあるかどうか、という点である。
当たり前の話だが、自らすすんで事故に遭いたいなどと思う人などいない。だが事故はいつ起こるか分からない。「運が悪かった」で済ませられないが、これまで発生した重大事故は「避けようがなかった」としか思えないものも多い。
通常の交通事故でも、予期せぬ事態であり、スピードのある車に対して、人間はあまりにも無力だ。しかし、だからといって何もしないではいられない。事故に遭わないためにできることがあれば、積極的に取り組むしかない。
当コラムで何度となく言ってきたように、自分の身は自分で守るというのは、幼児や小児なら大人が考え守ってあげなければならないが、独立した普通の大人であれば、自ら取り組んで全く損はないし、事件や事故に巻き込まれるのを未然に防げる効果も十分にある。子どもたちは、例えば「交通安全教室」で交通事故等に遭わないようにするための知識やノウハウを学ぶことがあるが、大人には学ぶ場所はなかなかない。裏返すと、大人は交通安全の基本が十分に出来ているということだろうか?
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