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“危機管理時代”の知的護身術

えん罪を避けるために

 予測できない事態に対処するためには、まず最悪の場面を想定することから始める。混雑した電車内で突然、「痴漢!」と叫ばれたときに、自分はどういう状態でいるか。手が下がっていればそれだけで危ない。両手を上げていれば痴漢とは思われない。吊り革につかまり本や新聞を読む。また、カバンを持つときも、できれば両手で抱えて、指は内側にくるようにしておく。何かの動作をするときは、一声かける。できるだけ女性のそばに立つことを避ける……などなど、できることはいくらでもあるはずだ。自分が疑われるような事態を避ける危機管理をしておくことだ。

 電車内での携帯電話利用も気をつけよう。男性が女性に注意して反感を買うことがあるように、女性でも男性の携帯電話の通話をうとましく思っていることがありえるのだ。イライラしている人から余計な反感を買わないように注意しなくてはならない。

 また、たとえ空いている電車内であっても、携帯でメールをしているだけでも、向かい側にミニスカートの女性でも座っていたら盗撮を疑われるかもしれない。人は案外、他人がどこを見ているか見ていたりするものなので、視線の置き場に気をつけなければならない。

 あらゆる点から疑われないように警戒することが必要なのだ。「とてもそんなことまで気にしていられない」という御仁は、いつえん罪被害に遭ってもおかしくないといえる。なぜなら、常識のある人は既に自然とそうした自己防衛策をとっているからだ。自分は疑われるようなことをしていない、という自信があればこそ、万が一の事態にも余裕を持って対処できるであろうし、また間違いのない行動をしていれば疑われることも少ないはずだ。

 「痴漢!」の一声があがったとき、うろたえることのないように、電車内では、自分の周囲をよく把握して、自分の動作には注意しよう。むしろ、男性同士、その場の状況をすみやかに判断して、痴漢を特定することや、えん罪の発生を防ぐように協力できるようであることが望ましい。

 痴漢と疑われたとき、「あの人ならやりかねない」「やっぱりね」と思われるか、「絶対にそんなことをする人ではない」「絶対に間違いだ」と周囲の人たちが口をそろえて言ってくれるかどうか。日頃からの危機管理の思考や行動が、事態突発の際に生かされるだけでなく、その人となりがうかがわれるものなのである。

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