個人ができる対策
「名簿業者」というものがあり、各種名簿が売買されているという事実もまた、自分の情報でありながら自分の力が及ばないところで取り引きされていることを思い知らされる。では、個人は自分の情報が自由にされることをただ黙って見逃すしかないのだろうか?
現状を法律から変えていくことは時間も根気もエネルギーも必要だ。既に出回っている情報についてはとりあえず、手近なところから個人でできることをしていこう。まずは、多数のDMだ。これを配達されて不要だからと、ただ捨ててしまうだけでは、いつまでも送られてきてしまう。
いらないもの、送って欲しくないDMなら、配達を止めてもらおう。発信者のフリーダイヤルや会社の電話番号が記載されてあれば、そこに電話を掛けて配達の停止とリストからの削除を要請する。その際、相手の所属、名前等を確認しておく。電話で話すことが面倒ならば、DMの宛名部分に紙を貼って「受け取り拒絶」と書き、認め印を押して郵便ポストに投函する。1~2回はその後も配達されるかもしれないが、その都度同様に手続きをすれば送られてこなくなるだろう。
アンケートなどにもやたらに応じないことだ。気軽に氏名・住所・電話番号などを書くのは控えよう。もし、書く機会を持つのなら、その情報が他に流用されないことを確認しておく。個人情報の取り扱いについて詳しく聞き出しておくことだ。このときも、担当者の名前を必ず聞いておこう。
さらに、住所や氏名の一部を分からない程度に変えておくことも有効だ。例えば、部屋番号の前か後にアルファベットを一文字足しておいたり、「○美」という名前なら「子」を付けておいたり、下の名前だけ全く別のものにしておく。もしそう知らせた業者以外からその名前や住所でDMが送られてくれば、どこが情報を漏らしたのかが分かる。
インターネット上では、特に個人情報の入力は注意が必要である。「フィッシング詐欺」が流行しているが、これは金融機関等を名乗ってメールを寄越し、誘導させたニセのホームページ上でカード番号や暗証番号を入力させて個人情報を盗むものである。こうした事例を知っておき、もしそうしたメールがきたら、必ず金融機関等に直接問い合わせて確認する手間を惜しまないようにしよう。
ネットカフェや共有のパソコンでは、ネットバンキングなどの利用はせず、暗証番号の入力は避ける。ログアウトしたり削除したつもりでも、復元されてしまう可能性があることを忘れてはならない。
さらに一歩進んだ自己防衛
いわゆる「氏名・住所・電話番号」などの情報だけが個人情報ではない。自宅の表札や郵便受けに家族全員の名前を明記することは止めた方がいい。名字だけで十分だし、日中以外は必要ないと考えれば夜間は取り外すくらいのことをしてもいいだろう。
最近の集合住宅では、集合郵便受けに名前を書く人が非常に少ない。部屋番号だけでも用は足りるからだ。個人情報を知られたくない人が増えているということでもある。郵便受けに鍵をかけることは最低限の常識だ。錠があるのに掛けていない人が意外に多い。
さらにゴミからも個人を特定する情報は探られる。住所・氏名だけでなく、金融機関やクレジットカード会社からの明細書などの郵便物から分かる個人情報は多い。宅配便の宛名紙もそのまま捨ててはいけない。もちろん、ATM(現金自動預払機)利用時の明細書も、その場では捨てずに持ち帰り、その他の郵便物や書類と同様に、個人を特定する、あるいは他人に知られたくない情報部分は、油性ペンで黒く塗りつぶしてシュレッダーにかけたり、細かく千切って捨てる作業を惜しんではいけない。
公的機関や病院など、本名を必要とする場所では致し方ないとしても、身分証明書の提示を必要としない場所では、適宜仮名を利用することもお薦めだ。字画の少ない、ありふれた名字を用意しておくといいだろう。
また人の居るところで名前を呼ぶことにも注意しよう。子どもの名前を知った人物が善からぬことを考えるかも知れない。子どもの名前も大切な個人情報なのだ。
日常、自宅に掛かってくる電話に、名前を名乗って出るのは止めるべきだ。無差別のセールス攻勢に自ら情報を与えることになる。「振り込め詐欺~架空請求」に対して、電話やメールで問い合わせることは、情報を差し出すことになるのでしてはいけない。その他、悪質商法や「振り込め詐欺~オレオレ詐欺」などの不審な電話に対しては、自分の情報を出さずに相手の情報を聞き出すことがコツである。
見えない個人情報だけでなく、目に見える個人情報の管理も必要だ。先ほど触れたように表札や郵便受けにフルネームを書かないだけでなく、外から見える窓辺にマスコットなどを置かない、女性用と分かる衣類の洗濯物は外に干さない、口の開いたバッグから財布を見せないなど、特に女性が警戒すべき事柄は少なくない。携帯電話でプライバシーをばらまきながら歩くことにも注意しなくてはならない。
個人情報を意識して対策をする人としない人とでは、危機を招く確率も違ってくる。被害に遭ってからでは遅い。自分で管理できるものは自分でできる限り管理することである。
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