第39回 自立を急ぐと自立できなくなる
親野 智可等氏
2008年12月12日
「甘えん坊の子どもを早く自立させたい」という相談は多い。
ある7歳の女の子のお母さんから相談があり、外ではしっかりしているが、家の中ではかなりの甘えん坊で、すぐひざの上にのってきたり、寝るときも「添い寝して」という状態で心配しているとのことだった。特に妹が生まれてからは甘えがさらにひどくなったという。
これは当然のことで、親の意識や愛情が妹の方により多く向いているのを肌で感じているからこそ甘えるわけだ。
ところが、子育てに熱心な親ほど、よくやる失敗がある。「お姉ちゃんだからしっかりしてほしい」と考えることだ。「お姉ちゃんとしての自覚を育てなければ」「お姉ちゃんらしく自立させなければ」と考えて、少し突き放すようになる。しかし、これは逆効果にしかならない。
というのも、子どもの立場になって考えてみれば簡単に分かることで、親の愛情が自分からほかに向かうことは子どもにとって圧倒的に大きな不安だからだ。子どもにも「お姉ちゃんになったんだから我慢しくなちゃ」という考えはあると思うが、理屈ではどうしようもない不安に襲われる。
だから、このとき親が真っ先にするべきことは、その不安を取り除くことであって、自立を促すことではない。今まで以上に上の子に愛情を注ぐことだ。
無理やり「お姉ちゃん」としての自覚を求めて、がんばらせたとしても、どこかでその反動が必ず出てくる。陰で妹をいじめるとか、ペットを虐待するとか、友だちの中の弱い子に冷たくするとか、学校でけんかやトラブルを起こすなどの問題が生じる。
あるいは、そのときの欲求不満が原因で、大人になってからも兄弟仲がしっくりいかないということになるかもしれない。
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