数学的な器が自然に育つこともある
もちろん、小学校時代に算数ができないなら放っておけばいいと言っているわけではない。できない部分をていねいに優しく教えてやったり、繰り返し練習させたりすることは大切だ。
ただし、しからず、怒鳴らず、穏やかに教える。できないものはできないのだから、いくら感情的に怒ってもできるようにはならない。まだ数学的な器が育っていないこともあり得るので、長い目で見てあげる必要がある。それに、その子がもし数学を本当に必要としたときはきっとできるようになる。
中学受験を控えた子どもの親は特に算数の点に神経質になりがちだが、本人にもどうしようもない部分があるのだ。
大人である親にも、どうしてもできないことはあるはずだ。「やればできる」と口で言うのは簡単だが、そう言っている親自身がなんでもできるのか? そんなことはあるまい。人は誰でも、できないことはあるのだ。どうしてもできないときは、目をつぶってやることが必要だ。
つい先日も、ある講演会場で、子どもの中学受験に神経をすり減らしているらしい母親に質問された。話しぶりから、子どもの偏差値が上がらなくてかなり焦っている様子だった。話しながら感情が高ぶってしまう様子から、普通の精神状態ではないと察せられた。
「どう言えば、本人のやる気が出るでしょうか? 算数が本当にできないんです。どうすれば、算数ができるようになるでしょうか? もう、このままだと‥‥」と、今にも泣き出しそうだった。その人の頭の中は、すべてそのことでいっぱいなのだろう。それがすべて子どもにぶつけられているのではないかと、非常に心配になった。
整理できない、朝早く起きられないなど、生活面もそうだが、勉強においてもどうしてもできない部分はあえて目をつぶることが必要だろう。それは親としての大切な資質だと思う。
子どもを許せず、しかり続けたり、言ってはいけないようなひどい言葉で子どもを傷つけたりすることはやめよう。親子関係を壊してまで算数や数学の点を上げる必要はない。
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