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父親のための親力養成塾

私立中学には志を持って進め

 医者や弁護士だけでなく、あらゆる仕事が人間関係力やコミュニケーション能力を抜きには成り立たない。このことは働いたことがある者ならば誰もが知っている。学歴や知識だけでは仕事はできないのだ。

 そして、世の中には自分たちと違う知識、違う言語環境、違う価値観を持っている人々がたくさんいる。仕事をするということは、そういう人たちとコミュニケーションしていくということだ。

 医者は医療知識のない人を説得して積極的に治療に取り組むように動機付けをする必要があるだろうし、弁護士ならば罪を犯した人々と腹を割って話さなければならないときもある。これは過去問を解くようには簡単にいかない。

 わたしたちは自由の社会に生きている。だから、自分たちはこういう人間を育てたい、こういう教育をしたい、こういう学校を作りたいということで、独自の建学の精神をもって私立の学校をつくり運営することは当然あっていいことだ。

 あっていいどころか、むしろ望ましいことだ。なぜなら、そこでは、多様な価値観の下での教育が可能になるからだ。そのような多様性が保障されない社会、この場合でいうと公立の学校しか存在しない社会というのは、恐ろしい。

 親や子どもの立場から見ても、ことは同じだ。わたしたちには、「我が子にこういう教育を受けさせたい」「自分はこういう教育を受けたい」と自由に選ぶ権利がある。だから、この場合でいえば、私立中学を自由に受験する権利があるのだ。そして、先ほどと同様、これも望ましいことなのだ。

 だが、今の問題は、そのような私立学校の持つ本来の価値とは別のところで、別のモチベーションによる異常な受験ブームが起きているということなのだ。

もう一度、わたしは以下のようなことを親たちに言いたい。

  • ブームに流されず、受験産業のプロパガンダに踊らされず、長い目で大局観をもって本当に我が子のためになる選択をして欲しい。受験のプラスとマイナスを冷静かつ総合的に分析して、場合によっては、無理な志望校の変更や受験そのものからの勇気ある撤退も視野に入れて判断して欲しい。
  • 我が子の特質や実力をよく見て、もし受験を選択する場合も、決して子どもに無理な要求をしないで欲しい。健全な日常生活を送りながらの受験勉強で行けるところに行く、これで十分なのだから。
  • 成績が上がらないからといって、感情的にしかりつけたり雑言を浴びせたりしないで欲しい。生涯にわたるいい親子関係をつくる上で、今が一番大事な時期だということを改めて認識して欲しい。

次に、メディア関係者に言いたい。

  • ネット、雑誌、新聞などで中学受験に関する記事を取り上げるメディアは多いが、内容は私立中学受験のメリットや「こうしたら合格した」という成功談ばかりだ。わたしが今回話したような中学受験のリスクに関する情報はほとんど表に出てこない。これでは公平性を欠いている。なかなか表に出てこない中学受験のリスクも取材して取り上げなければ、メディアといえないのではないか。

そして、受験産業関係者に言いたい。

  • 「自分の目の前にいる子どもとその親にとって、本当にいい選択肢はどれか?」と考えるハートを持って欲しい。そのために、自分のスキルやノウハウを活用して欲しい。

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