本物はオリジナリティの固まり
食べ物も同じだ。イカのリング揚げは子どもの大好物だが、驚いたことになぜリングになるのかほとんどの子が知らない。イカの元の形を見たことがないのだ。
それならば、丸ごとイカを買ってきて、はらわたを取り出し、輪切りにして、リング揚げを子どもと一緒に作るのも本物体験である。はらわたを取り出す行為は生き物から命をもらって我々が生きていることを実感できる食育にもなる。
親と一緒に作ったものを食べることで、親子関係を深めることもできるし、おいしく食事できるだろう。自分で作れば食べ残すのがいけないことが肌で分かる。
もっと身近な例でいえば、お風呂に入るときにサイズの違うペットボトルを持っていき、お湯の量を計ることさえ本物体験だ。親子で体重を計り合うのもいい。
量や重さの単位は、本物体験がないと子どもの頭の中で抽象的なものにとどまってしまい、いまひとつよく分からないままになってしまう。教科書や学校では実感させる機会を十分に提供できない。自宅で、1リットルや1キロがどの程度のものか実感しておくことは知識を定着させるために有効である。
本物はオリジナリティの固まりだ。触れ方によっては無限の情報を得られる。テレビや本は限られた情報しか提供してくれない。もちろん、活字や映像で学ぶことも重要だが、本物を知ることは人のオリジナリティを育てる上で必須だと思う。
知人の編集長が言うには、最近は独自の企画を立てられる編集者が減ってきたという。どこかで既にあるような企画しか持ってこないと嘆いていた。たっぷりと本物体験をして、知識と記憶のすそ野が広い人ならば、独自の発想でものを考えられるのではないだろうか。
机上の勉強だけで、人間の能力は決して伸びないだろう。
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