第48回
荒れた日本の山を救う“工法”とは
地球環境問題評論家 船瀬 俊介氏
2007年12月10日
日本の山が哭(な)いている。世界の山も哭いている ―― 日本の山は「伐(き)ってくれ!」と叫び、世界の山は「伐らないで!」と呼ぶ。
日本は国土面積の67%が森林である。世界に冠たる森林王国。なのに、国内消費する木材の約80%を海外から輸入している。日本は世界の木材の3分の1を消費する世界一の消費国なのだ。人口はわずか2%なのに。なんと歪みきった木材の大量輸入と大量消費の実態。
森林には二通りある。栽培林と原生林だ。栽培林は人工林であり、植林→育樹→伐採→植林‥‥というサイクルで活用される。だから、栽培林は定期的な伐採が不可欠だ。これに対して原生林は、大自然の生態系をそのまま維持している。だから、一度、伐採すると復活が困難だ。とりわけアマゾンなど熱帯雨林は、表土(トップソイル)が薄く、伐採すると再生が極めて難しい。
日本の森林は大半が人工の栽培林だ。戦後の復興期に拡大造林の掛け声とともに、なんと原生の広葉樹林を皆伐してスギ、ヒノキなどの針葉樹を植林した。日本列島は、本来、温帯モンスーンの広葉樹林帯に属する。そこに針葉樹を植えまくったのだ。
さらに、悪夢は、植えっぱなしで、必要な手入れを怠ったまま今日に至ること。
手入れの第一は枝打ちだ。日陰で伸びた枝は枯れ落ちる。すると節も枯れて“枯れ節”となる。板に製材すると穴になり商品価値はゼロとなる。間伐も必要な山の手入れだ。弱い木を間引いて光と風を林に入れ、強い木を太く高く育てる。
しかし、今や日本の森林は放置されたまま。
日本の商社は東南アジアなどの原生林を皆伐し、輸入した。禿山と化した山々は豪雨で山崩れ、土石流、大洪水の元凶と化した。一方、これら安い輸入外材に押されて、手間のかかる日本の森林は放置され、荒廃の一途だ。さらにスギ、ヒノキなど針葉樹は広葉樹にくらべて根の張りが浅い。保水力も約5分の1。
広葉樹は落葉して腐葉土層を形成し、降った雨を吸収する。山に分厚いスポンジを敷き詰めているようなもの。これに対して根も浅く、保水力も弱い針葉樹林は集中豪雨で、鉄砲水や土砂崩れなどの災害を多発させる。
すると、災害防止の掛け声とともに全国各地に砂防ダムや防災ダムなどがおびただしい数、建設された。山の斜面や河岸はコンクリートやブロックで覆われ、自然破壊、景観破壊が急激に進んだ。それは動植物や水生生物などの絶滅を加速していった。
熊や鹿、イノシシ、猿など野生動物が里に降りてくるのは、それだけ森林破壊が進み、食物が枯渇してきたからだ。
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