5000倍吸水オムツで砂漠を緑に
夢はそれだけにとどまらない。彼のロマンは納豆樹脂の開発当初からシルクロードの砂漠にあった。「納豆樹脂ポリマーの吸水性です!」。
樹脂とヘドロを混ぜたペレットを土に混ぜれば、乾燥地や砂漠地帯でも野菜栽培が可能になる。しかし、ただそれだけではつまらない。吸水性でひらめいたのは紙オムツ。「健康食の納豆を食べて長生きした人、必ず下(しも)の世話が必要となってくる。そこで納豆樹脂を使った老人用紙オムツをしてあげる。使い終わると、それを船に積んでシルクロードの砂漠に埋める。すると約5000倍保水力で砂漠の緑がよみがえる!」
さらにオムツ自体は分解されていく。オムツの商品名も考えた。“ネバーズ”。思わずほほ笑んでしまった。彼はオムツの試作品まで作った。後は量産化してくれる企業が手を挙げてくれるのを待つのみ。「納豆が砂漠化を救う」――なんと壮大で、なんとユーモラスな計画ではないか。「楽しくないとつまらんですよ。ワッハッハ…」。呵々大笑に、こちらもつられ笑い。
現在、紙オムツ原料のパルプメーカーなどは、熱帯雨林などの木材伐採で温暖化を加速すると厳しい目にさらされている。しかし、納豆ポリマーによるオムツなら砂漠に埋設する最終処分により、砂地は目を見張る保水力を確保し、緑の沃野に変貌するのだ。さらに生分解性なので公害も汚染もゼロ。四方が丸く収まる。
地球を“砂の惑星”にするな!
いま地球温暖化による砂漠化は、想像を絶する勢いで進んでいる。
それは、まず異常熱波、つぎに大干ばつ……そして砂漠化へと急速に地球表面を浸蝕し尽くしている。干ばつは即、農産物の全滅、農地消滅へとつながり、飢饉を引き起こす。干ばつは“飢餓の世紀”へのトリガーだ。その先にあるのは食糧を奪い合う紛争、戦争の惨劇だ。
2025年までに27億人が水不足に苦しむと予測されている。そして、2035年には38億人が水不足に呻吟することになる。例えば世界で最も豊かな生活を謳歌している北米地域ですら、今世紀中に“第二のサハラ砂漠”になると専門家は警告する。
膨大な人口を抱える中国も例外ではない。砂漠は首都北京の70kmまで迫っており、やがて中国は砂にのまれると懸念する声も。シルクロードの広大無辺の砂漠の下にはかつて栄えた王国や都市の遺跡が眠っている。
このまま放置すれば、やがて地球の陸地すべてが砂に覆われるだろう。その未来の姿は、そう“砂の惑星”……。わたしは夜空を仰いで戦慄する。それはあの赤い死の惑星、火星の姿とだぶる。砂漠化を食い止めることは人類の存亡に関わる。納豆樹脂の紙オムツ・プムロジェクトを笑ってはいけない。政府も企業も、あらゆる手立てを尽くし、総力をあげるときなのだ。
おしえてBP!
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