熱を高効率で集める工夫、逃がさない工夫
さて、CPC方式ソーラーコレクターの高効率の秘密を示しているのが図2の説明図だ。
図2
これまでの太陽光集熱器は太陽の向きで熱効率が大きく変化していた。太陽が低い冬や夕方などは太陽光がパネルに斜めに差し込み、その面積当たりに受ける熱量が少なくなるという欠点があったのだ。
その欠点を見事に克服したのがCPCだ。図を見ると太陽が高い時はもちろん、低い時も集熱管に太陽光線が見事に集中する構造となっているのだ。
このCPC方式ソーラーコレクターは、すでに商品化されている。その名も「ソーラーMAX」(写真3)である。
写真3
ソーラーMAXは太陽光を無駄なく集めるため、集光率は従来比約4倍の高効率となっている。
これまでの太陽集熱器は、日差しの弱い東北地方などには向かなかった。しかし、4倍の集光率を持つソーラーMAXの登場で北国でも太陽光で熱水を供給できるようになった。
「『温水農法』として農業にも活用できます。例えばソーラー給湯でイチゴの根を温める。すると年に4回収穫できる」と堀内所長は言う。
図4は、ソーラーMAXのパネル本体の断面構造だ。表面はペアガラス(特殊ガスを封入)で覆っている。これで外部に熱が逃げるのを防ぐ。集熱管には熱媒体が循環する。その下部には50mm厚の保温材があり、これも熱損失を防ぐ仕組みだ。
図4
すべてを自然エネルギーで賄う仕組み
ソーラーMAXの威力は冬場にこそ発揮される。グラフ5は真冬1月におけるソーラーMAXの集熱効率を、試験データを基に表したものだ。全国各地に設置したときの様子が分かるよう、各都市の相当する数値を点線で記してある。
グラフ5
南国の沖縄県の那覇市(左)で72%という高い集熱効率を誇っているのは当然としても、東京で50%、寒さが厳しい日本海側(右)でも約40%をクリアしている点は注目すべきだろう。
図6は集熱パネルの本体寸法図となる。縦横約1m×2m、厚さ約12cm。意外とコンパクトなサイズに読者の方々も驚くだろう。
図6
太陽集熱器には集熱パネル以外に、もう一つ装備が必要となる。それはお湯を蓄える「蓄熱槽」だ。集熱パネルと蓄熱槽間を循環する熱媒体には不凍液を採用している。これで真冬氷点下の凍結事故を防ぐわけだ。不凍液はマイナス15℃まで耐えることができる。熱媒体が蓄熱槽内部を循環することで熱交換器に熱を伝え、お湯を作る仕組みだ。
ソーラーMAXには集熱パネルと蓄熱槽を別々にしたセパレートタイプのほかに、国内で初めて、集熱パネルと蓄熱槽を一体にしたユニットタイプもある。ユニットタイプのメリットは省スペースだけではない。太陽電池を組み込むことで、熱媒体の循環ポンプを動かすエネルギーも自ら賄うようにしているのだ。つまり、電気工事や、外部からの電力供給が一切要らない。まさに自然エネルギーのみでお湯を作る究極装置と呼べるだろう。
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