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時速500kmで爆走する“カスピ海の怪物”

 ヒントは1987年、小濱教授がドイツ留学中のことだった。共同研究者が企業から受託してエアロ・トレインに結びつく基礎研究をやっていた。

 「それが“水面滑空体”。『これはいける!』と思いました。だけど、水面は物すごく危険なんです。波が立ったり事故を起こすと墜落と同じですから。これをガイドウェータイプにしたら安定性が出ていいだろうと思ったわけです」(小濱教授)。

 実は、旧ソ連が水面滑空タイプで、すでに時速500kmの列車を実現していた。“カスピ海の怪物”と呼ばれ、今のボーイング747ジャンボ機より大きく、水面から2mの高さを時速500kmで浮上走行していた。ソ連崩壊前の1980年代後半のことだった。

運行コストは新幹線の3分の1以下

 「最終的なコンセプトは3両編成を考えています。乗客325人乗り。運行コストは新幹線の3分の1。太陽電池パネルと沿線の風力発電装置だけで東京―大阪を12分間隔でスタート・到着できます。羽田(東京)―伊丹(大阪)間を12分間隔で離発着するボーイング777くらいの輸送能力はあります」と小濱教授はいう。

 1999年の運輸省・技術安全課による試算ではエアロ・トレインの建設費は新幹線と同程度だった。だが、輸送コストは新幹線の4分の1。つまり運賃も格段に安くできるわけだ。

 この高性能で効率的な交通システム、政界や産業界から熱い期待を集めていると思っていたのだが、現実は大きく違うようだ。

 「政治家に対しては当時の平沼・経済産業大臣に15分ほどプレゼンした程度です。残念ながら、彼はあまり本気で取り合ってくれませんでした。だから小泉総理にいたっては全く知らないと思います」と小濱教授は話す。一体、日本の政治家はどこに目を付けているのだろうか。

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