第8回
なぜ、木造建築を見直すべきか
~科学が解き明かした木材の「癒し」効果~
地球環境問題評論家 船瀬 俊介氏
2005年10月6日
9年も早死にする団地・マンション族!?
「休む」という字は、「人」が「木」に寄り添っている。英語の「森」(forest)は「for」「rest」。すなわち「休息の場」という意味だ。東西の言葉が奇しくも同じようなことを表している。つまり、動物である人は、植物である木と共に存在することで、真の安らぎを得るということ。その真理が、科学的データで次々に明らかになっている。
島根大学総合理工学部の中尾哲也教授がまとめた論文は、衝撃的だった。団地やマンションなどコンクリート集合住宅に住む人と、木造に暮らす人の平均死亡年齢を比較すると、団地・マンション族のほうが、約9年も早死にしていたのだ(調査件数:木造270件・コンクリート集合住宅62件)。「この数字は非常に大きい!」と中尾教授も驚愕した。さらに全国調査でも「木造率が高いほど平均寿命が高い」ことが立証された。
埼玉県入間郡名栗村にある船瀬俊介氏の邸宅は、ふんだんに木材を使った自然建築だ
木製巣箱はコンクリートに比べ12倍の生存率
さらにショッキングな報告もある。静岡大学と東京大学の農学部が合同で、「コンクリート」「金属」「木」の3種類の巣箱を使い、ネズミの赤ちゃんの生存率を調べた。するとコンクリ巣箱ではバタバタと93%が死んでしまい、生存率はわずか7%だったのだ。金属巣箱が41%、木製巣箱が85%。もちろん湿度、温度、シキワラ、餌は同じで、違うのは巣箱の素材だけなのに、コンクリと木製では生存率に12倍以上の開きが出た。
そして、コンクリ巣箱で生き残ったネズミも、体重や生殖器重量は一番少なく、虚弱だった。また研究者が体温測定するため巣箱に指を入れると、木製巣箱では指先にすり寄ってくるのに、コンクリ巣箱のネズミはいきなり噛み付いた。さらに、コンクリ巣箱で生き残ったメスは、妊娠して子どもを産むと、わが子を噛み殺して食べてしまった。
コンクリ育ちのオスは、他の巣箱に移すと牙をむいて他のネズミたちに襲いかかり、血まみれにした。昨今マスコミをにぎわす異常事件とイメージが重なり、ぞっとする。
また巣箱素材でストレス異常行動にも差が見られた。木製巣箱が平均80回に対してコンクリ巣箱が290回。後者は頻繁に異常な動きを示す。観察記録でも木製巣箱は「静かで」「おっとり」しているのに、コンクリ巣箱では「暴れる」「ケンカが目立つ」など。さらに木製巣箱では母ネズミが「ゆったりと授乳」「子どもをかき集める」のに対して、コンクリ巣箱は「授乳時間が短い」「子どもをかき集めない」など、愛情にも大きな格差があった。
コンクリート床材の巣箱と杉板床の巣箱をくっつけて、壁に穴を開けておくと、ネズミたちは一斉にコンクリートから杉床に“避難”する。動物的生存本能が、不自然なコンクリート床を拒否したのだ。マウスが好む建材は、スギ>合板>ヒノキ>クッションフロア>塗装合板>コンクリート>アルミ、の順になった。熱伝導率が高い“建材”ほど、体熱を奪う。つまり体を冷やすから、ストレスが大きい。
おしえてBP!
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