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高性能EVの市販競争はすでに始まっている

 これらの報道は、ついに“バッテリー・ウォーズ”の火蓋が切られたことを意味する。バッテリーの供給ターゲットは、ガソリン車と電気自動車の複合体であるハイブリッド車ではあるまい。すばり、慶応大学の“Eliica”に代表される超高性能EVだ。

 富士重工トップは、EVの価格が「軽自動車で150万円を切るメドがついたら市販する」と言う。しかし、すでにEV市販競争のスタート・フラッグは振られている。三菱自動車が、新型の軽EVを開発中、3年後に発売予定であることは前述した通りだ。残念なことに、性能的には慶応モデルよりはるかに劣るが、もし富士重工の新型リチウム電池を採用するなら、5分充電も可能になる。

 また、前出“MIEV”や“Rle”をはるかにしのぐ超高性能EVコミュータが存在することを忘れてはいけない。

 前出の慶大・清水教授が開発した“Luciole(ルシオール)”がそれだ。前後2人乗りのタンデム2シーターで、旧タイプ鉛電池でも290kmも走る! リチウム電池は鉛の約3倍容量だから、リチウムなら900km近くまで走行距離は伸びる計算になる。さらに、屋根に約2平方メートルのアモルファス太陽電池を搭載すると、太陽エネルギーだけで年間約2500kmも走る。つまり“Luciole”はソーラーカーにもなるのだ。

ソーラーカーにもなる「Luciole(ルシオール)」

 清水教授開発の前述の“IZA”はマークⅡと同じ車格で、リチウム電池で1000km以上走ってしまう。日本の自動車メーカーは、これら清水モデルと提携するのが、もっとも成功への近道といえる。

中国の電池工場も参戦、“バッテリー・ウォーズ”が巻き起こる

 このように日本の大企業が、相次いでリチウム電池開発とEV市販宣言を打ち出した影響は大きい。日本経済の最大牽引車である自動車産業のメガ・シフトの兆しだ。

 その背景には、異常気象など地球温暖化の激化、「京都議定書」クリアの急務、原油価格の高騰、長引く不況脱出のため……などの要因がある。また、燃料電池車(FCV)の挫折も見逃せない。ホンダの社長ですら「普及するわけがない」と自嘲したほどの、いわゆる大衆“めくらまし”プロジェクトであったが、性能、コスト、インフラと、すべての面で破綻した。

 さらに海外諸国の動向もある。“Eliica”搭載リチウム電池は700kgで2000万円。ところが2004年、中国で建設中の巨大リチウム電池工場の製品は約200万円という。中国製を採用すれば、一挙に10分の1のコストダウンが可能になる。

 中国の工場は、はっきりと世界の近未来EV市場をターゲットにしている。リチウム電池戦争は中国大陸から火を吹いたのだ。競争が激化すれば、さらにコスト10分の1へのダウンは必至だ。地下資源リチウムの埋蔵量は、大型EV20億台分。無尽蔵といってよい。さらに、リチウム電池はリサイクルが可能なのも大きなメリットだ。

 激化必至の“バッテリー・ウォーズ”での生き残りが、これからの国家の、企業の、運命を決する。

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「三菱自動車、2010年度までに軽乗用車ベースの電気自動車を商品化すると表明」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050511/104568/
「 【人とくるま展】富士重工業,実用化を目指す電気自動車「R1e」を出展 」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT_LEAF/20050518/104810/

<その他参考リンク>
Eliica
http://www.eliica.com/
IZA
http://www.r-d.co.jp/division2/ev/iza/iza.htm
MIEV
http://www.mitsubishi-motors.com/corporate/about_us/technology/environment/j/miev.html
三菱自動車工業
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/japan/
東京電力
http://www.tepco.co.jp/
富士重工業
http://www.fhi.co.jp/
NEC
http://www.nec.co.jp/

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