バックナンバー一覧▼

安全・安心を守る消費スタイル

第5回
電気自動車が大ブレイクの兆し!
~目を見張るリチウム電池の高機能・低価格化~

地球環境問題評論家 船瀬 俊介氏
2005年9月1日

3年後に時速370km/hのEVが市販へ

 「電気自動車イメージ一新――ガソリン車超す高速性能を実現」(7月31日付日経新聞朝刊)。これは、以前にこの欄で紹介した世界最高性能EV(電気自動車)“Eliica(エリーカ)”の2008年市販を報じるニュースだ。

2008年の市販が予定されている「Eliica(エリーカ)」

 かつて、慶応大学の清水浩教授が製作した“IZA(イザ)”は1991年時点で最高速176km/hをマークした。1回の充電での走行距離が548kmという驚異的な世界記録も達成している。しかし、マスコミは以来15年近くも、こうした超高性能EV(電気自動車)の存在を黙殺し続けた。それが現在では、手のひらを返すような報道ぶりとなっている。

現在ではリチウム電池で1000km走る「IZA」

 “Eliica”は周回コースで370km/hを記録した超弩級(ちょうどきゅう)のEVだ。「エネルギー総合効率はガソリン車が約7%、燃料電池車が約15%、電気自動車が約27%で、ガソリン車よりも4倍弱効率がよい」「慶応大学は電池メーカーなどと組んでリチウムイオン電池の価格も引き下げ、3年後には3000万円程度で200台程度を販売する計画」と日経新聞は伝えている。

 EV大ブレイクの鍵を握っているのが、ノートパソコンなどで使われているリチウムイオン電池だ。ノートパソコンなどの用途では、正極にコバルトを使用している。一方、EV用は安価なマンガンを使い、瞬間的に大容量エネルギーを放出する。旧来の鉛電池にくらべて蓄電容量は約3倍、寿命は2倍以上と優れた性能を持つ。リチウム電池を制する者が、EV戦争を制するといっても過言ではない。

三菱自動車と東京電力がEV開発でタイアップ

 続いて8月18日には、「読売新聞」の夕刊トップにこんな見出しが躍った。「三菱自・東電――電気自動車で提携」。さらに「家庭で充電できる電気自動車、2008年発売へ」。

 わたしは「ついに……」と感無量の思いで、この紙面を見つめた。なにせ12年も前から『近未来車EV戦略』(三一書房)などでEVの普及を声を枯らして訴え続けてきたのだ。昨年には『疾(はし)れ! 電気自動車(EV)』(築地書館)で、地球温暖化防止と日本の長期不況脱却のために、EVへの一大シフトを呼びかけた。しかし世間はほとんど黙殺状態。その無知、無関心さに悲憤慨嘆していた。

 そうしたなかでも、水面下で、急速な動きを見せていたのだ。さすが、日本の産業界。三菱自動車工業と東京電力のEV開発タイアップのニュースは、ついに極秘プロジェクトが衣を脱いだことを示す。三菱が開発中のEVは“MIEV(ミーブ、Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle))”。これは、同社が2005年末に発売を予定している軽自動車“i(アイ)”をベースに開発されたものだ。

MIEV(ミーブ)の外観は軽自動車そのもの(Tech-On!より)

後席の下に収納するLiイオン2次電池(Tech-On!より)

後輪を駆動するインホイールモーター(Tech-On!より)

 “MIEV”は主婦の買い物など、街中を近距離走行するEVコミュータとして、2008年に発売が予定されている。東電は三菱にEVへの充電器やバッテリー技術を提供する。

 車輪外に付けたモーターで走行する“MIEV”は、一般家庭用コンセントから充電できる。現在のところ10時間充電で150kmの走行距離と、性能には難がある。そこで性能大幅アップのために、三菱は東電と技術提携した。

 EVの充電は夜間が主となる。つまり、提携の背景には、東電にとって夜間電力の需要拡大につながるというメリットもある。夜間電力充電で「電気代はガソリン代の10分の1程度で済む」(8月18日付け読売新聞)という。ただし、急速充電をするには家庭用コンセント電圧を200Vに引き上げる必要がある。

 読売新聞の記事は「3年後には1回4時間程度の充電で250kmは走れる軽クラス電気自動車が200万円以下で市販されることに……」と予測している。その予測は、さらに大幅に早まりそうだ。なぜなら、わずか5分で充電という驚異のEV用電池が登場するからだ。

おしえてBP!

自然環境問題

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。