暮らしに潜むリスク

第50回
日本の150円、米国の1500万円―それぞれの医療問題

ファイナンシャルプランナー 大塚 まさこ氏
2009年1月28日

 「お薬手帳」に張るシールが有料であることを知っている人がどれほどいるのだろうか? そう、調剤薬局でもらうシール(※)のことだ。ひょんなことからそのシールが15点(150円)だということを知った。

※ 薬剤の名称、用法・用量、効能・効果、副作用および相互作用など、薬剤に関する情報を印刷したシールのこと

 わたしは敏感肌で、毎月定期的に皮膚科に通院している。どこの調剤薬局でも毎回、「シールお出ししますか?」と聞いてくるのだが、有料だと言われたことは一度もなかった。だから当然、無料だと思い、いつも「お願いします」ともらっていた。薬の効能が分かるだけでなく、他の薬との副作用や相互作用を確認できるので、便利なものだと思っていたのである。

 ある時、もらう薬が同じ内容だったため、「同じだからけっこうです」とシールを断り、領収書をもらって帰った。その時はまったく気がつかなかったのだが、家に帰り領収書をしまった時に前回の請求額と違うことに気づいた。まったく同じ処方箋なのに何が違うのか。

 さっそくわたしは調剤薬局に問い合わせ、領収書に書かれている内容を説明してもらった。その結果、「薬学管理料」の中の「薬剤情報提供料」の15点が違うことが分かった。1点は10円なので、150円の差である。このうち自己負担は3割で、50円(※)。これも確かにもったいないが、毎回100円が貴重な保険料と税負担から支払われていることに驚いてしまったのである。

※ 患者負担金は、点数×0.3の結果を“五捨六入”し、これに10円を乗じて出す。今回、薬剤情報提供料による自己負担分の増額がたまたま50円だったが、場合により異なる

 「なぜ今まで有料と言わなかったのか、そんなことが分かっていたらとっくにわたしは断っていた。50円が惜しくて言っているのではない。少子高齢化で国民医療費が逼迫(ひっぱく)しているのに‥‥」と、矢継ぎ早に質問した。

 その薬局の対応は素晴らしいものだった。わたしの憤りを最後まで聞き、冷静に対応してくれた。そして、有料だと言わなかったことに対しわび、今後シールが有料だと知らせた上で、お客様に判断を委ねると陳謝した。

 後日、わたしがその薬局に行った際には、責任者の年配の女性薬剤師から再度謝罪された。その上さらに、「お薬手帳に張るシールは有料です」と書いたチラシがレジの下に張ってあったのである。

 ほかの薬局はどうか――試しに近所の2、3の調剤薬局に聞いてみたが、けんもほろろの対応だった。

 しかし、米国で高額な医療費を請求された女性、Fさん(60代)の話を聞くと、米国の医療事情はもっと深刻だった。

 
 

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