暮らしに潜むリスク

第25回
死んでたまるか! 労働者のメンタル対策

ファイナンシャルプランナー 當舎 緑氏
2008年2月5日

 労働者にとって、最近はますます働きにくい環境になってきたように思う。

 東京都は、都内6か所の労働相談情報センターで実施している労働相談の状況を発表したが、それによると、相談件数自体は前年の0.8%増なのに対して、メンタルヘルスについての相談は実に前年の3.3倍に膨れ上がっている(「平成19年度上半期の労働相談状況及び街頭労働相談実施結果について」)。

 また、厚生労働省は「精神障害等の労災補償状況」という資料を発表している。2006年度中に労災補償の支給が決まった人は205人(うち自殺・自殺未遂66人)、年代別に見ると、最も多いのが30代で、全体の40%。それに20代の19%が続き、両方を合わせるとなんと59%にもなる。精神的に追いつめられている若年層の姿が目に浮かぶ。

 過労死や精神疾患の場合でも、労災として認められるということはご存知の人も多いだろう。ただ知ってはいても、それこそ「関係ない」で済ませている人も多い。だが、これを他人事だと放っておくのはとても危険なことだといえないだろうか。

 わたしも社会保険労務士の仕事を始めてから13年になる。その間、会社をだんだん休みがちとなり、最終的にはまったく会社に来られなくなってしまった労働者を何度も見てきた。これだけ増え続けているのは、「精神的な不調」が「怠け者」ゆえなのではなく、職場環境の年々の悪化が、かなり影響しているといえるだろう。

 先ほどの東京都のデータでも、職場の嫌がらせ相談は23.1%増加、派遣労働に関する相談は3割近くの大幅増加である。

 心の不調は、早期発見・早期対応が大前提である。放置され、休職復職を繰り返し、ついには自殺、などという結末になれば、企業の安全配慮義務が問われ、裁判沙汰となることも予想される。

 もはや実年世代だけではない、若年層にも広まっているということは、世代を問わず心の健康づくりが欠かせない世のなかになってきたと言える。

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