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「場当たり個人情報」から「攻めの情報活用」へ

最近になってぞろぞろ出てくる新たな事実

 薬害肝炎救済法が国会で成立してから2カ月が経過するが、この間に次々と隠れていた事実が明るみに出てきた。最初は製薬会社が個人情報を放置し患者に伝えていなかった事実である。

(2008/02/27 読売新聞)
―製薬会社が別資料放置=3700人分-薬害C型肝炎問題―
 薬害C型肝炎問題で、旧ミドリ十字を受け継いだ田辺三菱製薬が、厚生労働省が放置していた418人分の症例リストとは別に、フィブリノゲンを投与された3700人分の資料を保管していたことが27日、分かった。中には、個人の特定に結び付く情報もあったが、同社は1月に特定作業を開始するまで資料を放置し、厚労省も対策を怠っていた。 田辺三菱によると、資料は、1987年から92年の間にフィブリノゲンを投与された患者3859人の約半年間にわたる追跡調査に関するもので、医療機関名をはじめ、一部に投与日、症状、イニシャルなどが記載されているという。

 製薬会社の姿勢はひどいものがある。この連載では個人情報(薬害感染者)を前にした官僚の不作為責任を取り上げているが、行政よりも製薬会社のほうがずっと責任が重いのである。製薬会社の不作為責任こそ、刑事事件として立件すべきだろう。

 次の例は、厚労省が再調査をしてみたら、フィブリノゲンの投与記録がどんどん出てくるという話だ。

(2008/02/15  読売新聞)
―フィブリノゲン投与記録、1100医療機関「ある」に変更・・・厚労省再調査 給付金対象者、増加の可能性―
薬害C型肝炎問題で、血液製剤フィブリノゲンについて投与記録の有無を問う厚生労働省の調査に、「ある」と答えた医療機関が急増したことがわかった。前回2004年調査の3倍以上となる約1600か所。このうち約1100か所は前回「ない」としており、この変化が数字を押し上げた。投与の記録は感染被害を裏付ける重要な証拠となる。感染・患者側が照会しやすくなったことで、投与を証明できる薬害被害者が推計より増える可能性も出てきた。

(2008/02/29  読売新聞)
―フィブリノゲン投与、9176人分の記録確認―
薬害C型肝炎問題で、厚生労働省は29日、感染の原因となった血液製剤「フィブリノゲン」の投与を示す記録について、今月15日時点で9176人分の保管が確認されたと発表した。厚労省が昨年11月に実施した医療機関に対する調査の中間まとめで、前回公表の今月1日時点から280人増えた。回答率は約94%で、最終的には1万人程度になる見通しだ。まとめによると、カルテや処方せんなど何らかの記録が保存されており、患者個人を特定できる投与記録がある医療機関は697か所(前回比53か所増)で9176人分。この40%に当たる3683人(同51人増)には各医療機関が事実関係を告知している。19%を占める1749人(同38人増)はすでに死亡していた。

 社会問題としての高まり、薬害肝炎救済法の成立という追い風があったにせよ、厚労省の再調査に対して、前回はなかった患者の個人情報がどんどん出てくる。一体何が起きているのかと耳を疑う。厚労省が本気を出し調査のやり方を工夫すれば、もっと早い時期に投与記録が集まっていたのではないか。

 病院もまたひどい。ないと答えたときにしっかり調べて回答をしたのだろうか。

 こうした新たに出てくる事実をみると、厚労省も、製薬会社も、病院も、お互いが以前からフィブリノゲンなど血液製剤を通して薬害肝炎が発症する事実にうすうす気づきつつ、見て見ぬフリをしてきたのではないかなどと、疑いを強く持ってしまうのである。自分の責任になることを恐れて、お互いが遠慮し牽制し合うような関係があったのではないかと疑いたくなる。不作為の連鎖が起きていたのだろうか。

 次回は、薬害肝炎事件における厚労省、製薬会社の不作為責任について取り上げることにしたい。

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