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「場当たり個人情報」から「攻めの情報活用」へ

緊急寄稿
薬害肝炎事件は終わらない(3)
~不作為責任をどこまで問えるか-1-~

ネット情報セキュリティ研究会会長 田淵 義朗氏
2008年3月18日

 薬害エイズ事件で官僚個人の刑事責任が確定した。国民の安全のために為すべきことを為さなかった行政の不作為に対し、最高裁は官僚個人も責任を負うとの判断を示した。

 実は薬害肝炎事件の構図も薬害エイズと非常によく似ているのである。だから最高裁で有罪が確定した元厚生官僚の不作為責任の問題を通して、薬害肝炎事件を再検証することは、問題の本質を明確にする意味がある。なぜなら多くの国民が解決したと思っている薬害肝炎事件は、何ら全面解決などしていないからである。

 薬害エイズ事件で司法の最終判断が出されたことを踏まえて、2回に分けて薬害肝炎事件における厚労官僚や製薬会社の不作為責任について検証したい。「個人情報は誰のものか」について書く前に必要な作業と考える。

日本の裁判史上初めて確定した官僚個人の刑事責任

 2008年3月4日最高裁は、薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告に対し上告を棄却、被告の有罪(禁錮1年、執行猶予2年)が確定した。20年以上前の不作為が司法の指弾を受けて裁かれたことになる。10年余りにわたって争われた薬害エイズ裁判がこれですべて結審した。

 日本の裁判史上初めて、官僚個人の不作為責任が刑事事件として立件され有罪となった事件として、薬害エイズ事件は後世に名を留めることになる(不作為については前回記事をご参照下さい)。捜査段階で官僚個人に刑事責任を負わせることに異論もあったようだが、600人以上にのぼる死者を出した事件の重大性にかんがみ、捜査当局は製薬会社や医師だけでなく官僚の立件にも力を注いだといわれる。捜査機関の地道な努力がなければ、裁判になっていなかったとも考えられる。

 最高裁で有罪が確定したことは特筆すべきことだ。今後の行政の対応や、権限行使に当たる公務員の判断や心理にも少なからず影響を与えることになるだろう。

 松村被告は裁判で一貫して「行政の一担当者に刑事責任を負わせるのは無理がある」として無罪を主張してきた。また「1985年〜86年の知見では、非加熱製剤の使用中止命令を出すのは困難だった」との弁明を繰り返した。

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