第17回
福岡中学生いじめ、mixiプライバシー侵害にみる個人情報(2)
ネット情報セキュリティ研究会会長 田淵 義朗氏
2006年11月21日
恋人同士のプライベートな写真が、心無い人間によってmixiに張り付けられる事件が起きた。mixiは日本最大の会員数を擁するSNSサイトだが、悪意のある人間が引き起こす行動を抑止できないでいる。世界最大のSNS、マイスペースが最近日本に上陸したが、人気のコミュニティーサイトの裏側で起こる深刻なプライバシー侵害事件に、対策はあるのだろうか。
今回の事件は、スポーツ紙やゴシップ雑誌などが興味本位で報じたほかは、新聞、TVなどで取り上げることはほとんどなく、一部週刊誌が掲載した程度だった。
こうした問題はネット社会特有の問題として何とかしなければという議論はあっても、結局のところ放置されているのが現状だ。本当にこのままでいいのか。
事件の経緯、悪意の愉快犯
事件をご存知ない読者もいるだろうから、事件のあらましを説明しておこう。
男性はファイル交換ソフトの一種「Share」をインストールしていたが、これにウイルスが感染した。それが原因で男性のパソコンに保存してあった「秘密」名のファイルがネット上に流出した。そしてその中にあった問題写真も公開されてしまった。
これだけなら氏名不詳の恥ずかしい写真流出事件で済んだはずだったが、Share上でこれを入手した人物がファイルに記述してあった男性の氏名を検索し、mixi会員であることを突き止める。そこから写真の女性が同じmixi会員の女性(マイミクに登録されていた)と特定されてしまう。そしてこともあろうに、この人物は女性が卒業した高校の同窓会のmixiコミュニティーに、その写真を張り付けたのである。
その後2ちゃんねるに飛び火し、同様の書き込みがなされた結果、女性の本名、職業、顔まで写真で特定されてしまう。2ちゃんねる上で丸裸にされた女性にとって、堪えられない人権侵害であり屈辱以外の何物でもなかったはずである。女性の自殺説が飛び交うほどひどい状況に、2ちゃんねらーのなかにも同情論が大勢を占めたほどだった。
女性の側に罪はない。ファイル交換ソフトの危険性が多くのメディアで叫ばれているにもかかわらず、ウイルスに感染し個人情報を流出させた男性に第一の非があり自業自得と言ってしまえばそれまでだが、女性本人の個人情報をわざわざ突き止め公開するという行為を働いたこの悪意の第三者こそ、最も罪が重い。
この連載のバックナンバー
- 人々をだます“SAFETY”という罠 (2009/02/27)
- 薬害肝炎事件は終わらない(3) (2008/03/18)
- 薬害肝炎事件は終わらない(2) (2008/02/06)
- 薬害肝炎事件は終わらない(1) (2007/12/27)
- 個人情報漏えい、対策したのに止まない不思議(1) (2007/10/12)

