アンバランスを象徴する行政の情報漏洩
一番の問題は行政などの公的機関で大量の流出事件が起きている点にある。これこそアンバランスを象徴する最たる事実である。
本来、漏えいがあってはならない公的機関で、なぜ漏えい事件が急増しているか。「個人情報保護の理念と手続き遵守」を定め、運用基準などガイドラインを指し示す立場の行政や公共団体に、流出事件が急増しているのはなぜか。
行政が漏洩した個人情報は、本人にとって知られたくないプライバシー情報を含むことが多い。例えば、受刑者情報など最たるもので、こうした情報を扱う上で、細心の注意が必要だったが、刑務官の私物パソコンから漏えい事件が起きたのは、危機意識が麻痺しているからだ。私物パソコンに情報を入れて持ち帰り、ウィニーを使用していてウイルスに感染し、受刑者情報が流出した。「研究するため」というのが持ち帰った理由のようだが、 禁止されている行為を繰り返す土壌は、どうして生まれるのだろうか。
筆者は、行政が組織として情報漏えいのリスクを認識しながら現場の公務員がこうした禁止行為を繰り返すのには、2つの理由があると思っている。
1つ目の理由は、以前も書いたが、「まさか自分は感染しないだろう」「自分だけは大丈夫」というあまい認識である。しかし、これだけでは説明がつかない。
2つ目の最大の理由は、「懲罰・量刑のアンバランス」である。流出事件を起こしても、懲戒解雇になった例など聞いたことがない。3ヶ月10分の1減俸処分とか、上司は厳重注意などの処分にとどまる。懲戒の内規の量刑が不当に低いのである。業務上の横領などと同じく、情報流出による多大な損失コストを踏まえて厳罰を課すべきであろう。
今日(3月28日)もどこかのニュースで出ていたが、某自治体が、セクハラは懲戒解雇、個人情報の漏えいは減給とのことで、セクハラで解雇か!という点が注目すべき点として紹介されていた。こうした対応一つ見ても、個人情報の流出事件について懲罰の軽さがわかるのである。
法律が施行されて1年も経つというのに、流出事件が一向に減らない。防衛庁の機密情報や受刑者の犯罪履歴など大変センシティブな情報が垂れ流され、多くの公的機関を中心に漏えいが継続し、蔓延している。
こうしたアンバランスがなぜ起きているか、それを考えることのほうが、厳格に個人情報保護法の運用を形式主義で対応するより、ずっと重要なことである。
この連載のバックナンバー
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