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「場当たり個人情報」から「攻めの情報活用」へ

個人情報の保護と流出のアンバランス

 自画自賛ではないが、この連載コラムは相当以前から執筆してきたし、このサイトを運営している日経BPという会社は、この問題に早くから取り組んできた。冷静にこの法律を読み解いていけば、こうした大混乱が起こることは目に見えていたのである。

 筆者は「個人情報保護」というお題目が混乱を生んでいる、法律名称を「個人情報活用法」とすればよかった、とずっと主張してきた。

 個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報の保護という、利益が背反する2つの面を持っているこの法律が、個人情報の定義を広く取りすぎて何でも個人情報としたために、取扱事業者の情報管理に過大の負荷を生じさせている。

 また、法的リスクを回避しようとする取扱事業者の姿勢が、対応の形式化を招き、個人に対する過剰な反応を生んでいる。個人情報の提供を抑制しようとする動き、また提供自体を中止するなど、社会のコミュニティまで破壊、崩壊を助長する状況を生んでいる。 

 一方で最近のウィニー感染のウイルスによる個人情報の流出騒ぎを例に出すまでもなく、1年以上前から筆者だけでなく多くの専門家が記事に書いたり、ブログ、ホームページで危険信号を送り続けたのに、ここにきて流出事件が急増、テレビや新聞一般紙でも取り上げられる事態になっている。

 その対応も場当たり的で、ウイルスによる個人情報流出騒ぎが大きくなって、「ウィニーを使用しないのが一番の対策」と政府高官までいい出す始末だ。このコメントを聞いて、まさにその通り!なので、周辺の専門家が知恵をつけたに違いないと笑ってしまったのだが、対応が断片的で場当たり的な印象をぬぐえない。

 個人情報保護に関して施行後1年で噴出してきた法律をめぐる諸問題と、時期を同じくして起こった各方面での個人情報の流出事件。

 この2つの事態を見て筆者が感じるのは、個人情報の保護における「重心のアンバランス」である。法律が個人情報保護の意識を喚起した功績は認めるとしても、個人の権利意識をあおり、また事業者側に個人情報を扱う歪みや活動の萎縮を引き起こしている。

 一方、個人情報の流出が止まるどころか急増している。なぜこうしたアンバランスが起きているか。この点をしっかり見ていくことが重要なのである。

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