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震度7の建築経済学

地下鉄からの排水に1~2週間、その間、交通はマヒ

【地下鉄の止水対策──3タイプを想定】

 (1)トンネル坑口や地下鉄駅等の出入口の止水対策が現況程度の場合
 (2)トンネルの坑口や地下鉄駅等の出入口を高さ2m まで塞いだ場合
 (3)トンネルの坑口や地下鉄駅等の出入口を大部分塞いだ場合

 止水対策の違いによって、どのような差が生じるのだろうか。荒川右岸(河口から21キロ上流)が決壊したケースだと、(2)の場合には、氾濫水の流入を押さえることができるため、地下鉄駅等の浸水速度が数時間遅くなるが、最終的な浸水区間(路線数、駅数、延長)は(1)と大差なかった。

 (3)は、トンネル坑口は完全に止水する一方で、駅の出入口高3メートルに対し、高さ2.9mメートルまでの部分を塞いだ場合である。このときには、最終的な浸水区間は、9 路線の14 駅、延長約17km で、東京、大手町、銀座、霞ヶ関など都心部の主要な地下鉄等の駅は浸水しないものと見込まれる。ただし、現実的に、このような対策を取るのは、極めて難しいと思われる。

【流域の降雨量──2タイプを想定】

 (1)200年に1度の大雨(3日間の総雨量が550ミリ)。荒川の岩淵地点(河口から21キロ)での流量が、約1万4000立方メートル/秒の洪水となる。
 (2) 1000年に1度の大雨(3日間の総雨量が680ミリ)。荒川の岩淵地点での流量が約1万8000立方メートル/秒の洪水となる。

 荒川右岸(河口から21キロ上流)が決壊し、「トンネル坑口や地下鉄駅等の出入口の止水対策が現況程度」の場合には、(2) 1000年に1度の大雨だと、浸水速度がやや速まったり、水没区間が若干増えたりはするが、浸水区間の延長はほとんど変わらない。

 地下鉄内に浸水した水を排水するためには、1~2週間かかる見込みという。しかし、泥水などで鉄道設備に被害が出た場合、復旧に必要な時間は不明である。その間の都心交通、物流、さらには経済的損失などを考えると、今後の対策は待ったなしの状況だ。

 次回は、引き続き、他路線の被害状況をシミュレーションしてみよう。

プロフィール


細野 透(ほその・とおる)

細野 透氏

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。 細野透編集事務所代表。大学と大学院で建築の構造を学んだ。師である構造家の坪井善勝・東大名誉教授(故人)は、建築家の丹下健三氏(故人)と組んで、代々木オリンピックスタジアム、東京カテドラル聖マリア大聖堂を設計した。ジャーナリストになってからは、方向音痴にめげずに、1000作品以上の建築&住宅を現地取材。インタビューした建築&住宅専門家は3500人を超える。日本建築学会学会賞選考委員会、建築計画委員会、現代建築評価小委員会、リスクコミュニケーション手法に関するWG委員。住宅Webマガジン「日経ネット・リビングスタイル」編集アドバイザー。ブログ「建築雑誌オールレビュー」主宰

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