第64回
建築基準法の耐震基準には本質的な欠陥がある
建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2009年3月4日
シンクタンク「東京財団」が、「建築基準法の耐震基準には本質的な欠陥があるので、これを改正すべきである」とする注目すべき提言(※)を行った。提言は3項目から構成されている。
※提言のPDFファイルはこちら
提言1は、「悪名高い」建築基準法第1条の改正である。現行法ではこう定められている。
第1条。「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」
これを、次のように改める。
第1条。「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する現代の最新の科学的知見に基づいた基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」
現行法では「最低の基準」となっているのを、「現代の最新の科学的知見に基づいた基準」と改正しようというのである。そして、「専門家委員会を組織し、最新の知見に基づいた耐震基準を定期的(例えば5年おき)に更新する」ことを求めている。
提言2は、最低基準の標準規準への転換である。
現行法の最低基準が要求しているのは、「震度6強の地震が来ても倒壊しない(建物の中にいる人は死なない)」ことである。これに対して、提言では、例えば「弱い震度7の地震で倒壊しない」「強い震度7の地震でも倒壊しない」など、幅を持たせた標準規準に改める。
そして、耐震等級の幅を「+2~-2」まで5段階に分けて、「-2」が現行建築基準法における最低基準とほぼ同等となるように設定する。設計者は建築物を設計する場合、建築主にこの等級を明示し、各等級の地震被害リスクを説明した上で事前に同意を得なければならない、と求めている。
提言3は、耐震等級の表示義務である。住宅業者(販売者、賃貸人)には、消費者(購入者、賃借人)に対し、その建物がどの耐震等級で建てられているかについての表示、説明義務を課すことを求めている。
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