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震度7の建築経済学

第53回
エレベーターに今日も誰かが閉じ込められている

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2008年10月8日

 今日も日本のどこかでエレベーター事故が起こっている。その件数は1日に25~30件。1年間では約1万件ものペースだ。国土交通省が発表した資料(※)をもとに、過去3年間に発生した深刻な事例をピックアップしてみよう。

 2006年3月27日 ── 福井県内
 患者とその家族の計4名が1階へ降りるため乗り込んだところ、扉が開かなくなり、1階から7階まで上昇と下降を繰り返した。かご内からインターホンで警備員室に通報があり、管理しているメンテナンス会社の職員が駆けつけ、約1時間後に救出した。1名が気分が悪くなり手当を受けた。

 2006年6月3日 ── 東京都内
 1階から男性(16歳)が自転車にまたがったまま乗り込み、12階で降りようとしたところ、扉が開いたままかごが急上昇。かご床と乗場天井部の間に挟まれて、窒息により死亡した。同乗していた女性(57歳)にケガはなかった。

 2007年4月23日 ── 千葉県内
 かご上に取り付けられている着床スイッチ(ドア開許可領域検出装置)に不具合が発生。エレベーターが停止位置を検出できず、最上階と最下階の往復運転を繰り返した。救出までに25分ほどかかり、精神的な苦痛をこうむった。

 2007年6月6日 ── 東京都内
 雑居ビル1階で上昇中のエレベーターが1~2階間で動かなくなり、男女7人が約1時間閉じ込められた。東京消防庁のレスキュー隊などが駆けつけ、3階の扉から救助した。

 2007年8月20日 ── 奈良県内
 8人乗りエレベーター(600キロ)に、児童11人(約550キロ)が3階から乗車した。1階ボタンを押したところ、4階へ上昇。4階到着寸前に突然停止して、閉じ込められた。エレベーター内の直通電話と児童の持つ携帯電話とで、保守会社へ2回連絡が入った。11歳の女子1人が過換気症候群で不調を訴えた。

 2007年9月12日 ── 大阪府内エレベーター
 遊戯施設において、男性客9人が3階から上行きのエレベーター(定員9名)に乗り込んだところ急降下。3階床レベルから50センチほど天井が出ている状況で停止した。閉じこめられた客が店に救助を要請。店から連絡を受けた保守会社が約50分後に駆けつけ、エレベーターを2階レベルまで下ろして9人を救助した。9人は落下の衝撃で腰を打ったり、気分が悪くなったりして救急車で病院に搬送されたが、いずれも軽傷。

 2008年1月20日 ── 静岡県内
 主ロープストランドが1本破断。破断したストランドによって調速機の安全スイッチ部分が破損して、エレベーターが停止。男性1名がエレベーター内に閉じ込められた。

※ 「国土交通省が発表した資料」とは、続発する事故に関して「同省住宅局建築指導課」が発表した一連の資料、および事故防止対策を講じた「社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会」が発表した一連の資料を指す。

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