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震度7の建築経済学

第49回
岩手北部地震、気になったお墓の「縦と横」

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2008年7月24日

 地震で震度5強以上になると、墓石がバタバタ倒れはじめる。地震計が普及している現在でも、被害の調査に出かけた建築専門家は、必ずお寺に立ち寄って墓石の倒れ具合を調査。そのデータをもとに、どの程度の震度だったのかを推測する。

 7月24日午前0時26分、岩手県北部を襲ったマグニチュード(M)6.8の地震で、岩手県洋野町(ひろのちょう)で震度6強、青森県八戸市などで震度6弱を記録。100人を超える人が負傷した。深夜の地震だったので、就寝中に家具の転倒、家財の散乱などにより負傷した人が多かったのだろう。

 各地で土砂崩れ、変電所の火災、天井の落下、窓ガラスの割れ、壁の破損、水道管の破裂、エレベーターの閉じ込め事故が発生した。そのことはもちろん深刻なのだが、わたしがヒヤリとしたのは、震度5強以上の地域でかなりの墓石が倒れたことである。

 例えば、震源地に近い洋野町の大正寺では、600以上あるお墓のうち、高台の上部にあるものを中心に、墓石が倒れたりずれたりする被害が発生。テレビでは「心配して駆けつける人々が多かった」と伝えていた。

 8月15日はお盆(月遅れの盆、旧盆)である。今回の地震が、仮に、お盆のお墓参りの時間に合わせて発生していたら、負傷者の数は100人レベルでは収まらなかったろうし、死者も出ていたことだろう。

 政府・中央防災会議の資料によると、自販機が転倒してそばに人がいた場合には、自販機1000台につき、死者1名、重傷15名、軽傷25名の被害が出る。お墓の転倒でも、これに類した被害になるだろう。

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