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震度7の建築経済学

第42回
中国地震の「生徒生き埋め」は日本でも起こる

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2008年5月13日

 中国の四川省で12日午後、マグニチュード(M)7.8の大地震が発生した。「死者1万人超」「学校校舎の倒壊で生徒900人生き埋め」などと報道されている。

 テレビで見る限りでは、石・煉瓦・コンクリートブロックなどを積み上げた、耐震性の弱い組積造(そせきぞう)の建物が多かったことが、被害を大きくした原因であるようだ。

 地震国・日本で生活する者としては、他国の地震であっても人ごととは思えないのだが、特に心が痛むのは校舎で生き埋めになった生徒たちである。

 四川省で倒壊した学校が組積造だったとすれば、石・煉瓦・コンクリートブロックなどの重量物があっという間に崩れてくるわけだから、生徒たちは逃げる暇もなく、生き埋めになったに違いない。

 学校が鉄筋コンクリート造だったとしても、柱が細くて鉄筋数も少ないように見えるので、やはり大地震にはもろく、生徒たちには逃げる暇がなかっただろう。

 日本人は、小さいときから「地震が来たらすぐに机の下に潜りなさい」と教えられて育ったし、今でも学校では生徒にそう教えている。

 これは、日本の学校は、「大地震に対しても、建築物に重大な損傷がなく倒壊しないことを目標にして設計されている」からだ。すなわち、コンクリートの破片、天井材、照明器具などがパラパラと落ちてきても、建物が崩れないことを前提にしている。

 しかしながら、耐震補強がなかなか進まない現状を見ると、「机に潜りなさい」と教えていいのかどうか、ためらってしまうのである。

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