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震度7の建築経済学

第39回
帰宅難民、「100キロ以上派」はどこへ行く

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2008年4月3日

 首都圏が大地震に襲われると、「避難所難民」「帰宅難民」「高層難民」の三大難民が発生する。4月2日、中央防災会議の「首都直下地震避難対策等専門調査会」は、このうち「帰宅難民」に関する新しいシミュレーション結果を公表した。

 これは、東京湾北部にマグニチュード(M)7.3の地震が発生。最大で震度6強の揺れが首都圏を襲い、建物の倒壊や火災によって約1万1000人が死亡して、電車やバスなどの公共機関がストップした状況を設定。通勤、通学、買い物などで外出中の約1400万人が、徒歩で帰宅するために必要な時間を予測したものだ。その概要は以下の通りである。

(1)都心部や火災延焼部を中心に、あちこちの道路が満員電車状態(1平方メートルあたり6人以上の密度)になる。

(2)満員電車状態に3時間以上巻き込まれる人は、全域で約200万人にのぼる。その内訳は、都区内にいる人の約3割、都心(千代田・中央・港区)にいる人の約4割を占める。

(3)満員電車並みの混雑が予想されるのは、東京23区内の35カ所の道路で、過密になった道路を通過せざるを得ない人は約475万人に達する。

(4)通常は1時間歩くと約4キロ進むが、満員電車状態では約400メートル程度しか進めない。

 そのために、東京・丸の内から周辺市区役所までの徒歩による平均所要時間は次のようになる(丸の内からのキロ数、通常必要な時間、地震直後に必要な時間を示した)。

   (1)千葉市役所  40.8キロ 10.2時間 → 14.1時間
   (2)横浜市役所  32.0キロ  8.0時間 → 14.7時間
   (3)さいたま役所 25.2キロ  6.3時間 → 11.0時間
   (4)和光市役所  20.8キロ  5.2時間 → 15.1時間
   (5)川崎市役所  19.2キロ  4.8時間 → 6.1時間
   (6)葛飾区役所  11.2キロ  2.8時間 → 6.3時間
   (7)江戸川区役所 10.4キロ  2.6時間 → 4.7時間
   (8)目黒区役所   9.2キロ  2.3時間 → 3.7時間
   (9)新宿区役所   7.6キロ  1.9時間 → 3.6時間

 この結果を受けて、中央防災会議は今後、一斉帰宅の抑制、企業や学校での一時収容対策の促進、経路情報の提供、帰宅経路における支援策、都心部などの滞留者対策、主要駅周辺での混乱防止策を検討する方針である。

地震発生から1時間後の状態。青色の道路(歩行速度が1時間3~4キロ)が目立つ

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