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震度7の建築経済学

第37回
「清水の舞台」は倒壊してしまうのか

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2008年3月12日

 京都で直下型地震が起こると、清水寺などが倒壊する恐れがある‥‥。2月下旬に新聞各紙は一斉にこう報じた。清水寺の本堂には有名な「清水の舞台」がある。多くの人は「地震でその舞台も倒壊してしまうのか」と心配したに違いない。

 しかしながら、本堂の耐震性能について調べた最近の研究では、「舞台が倒壊する危険性は低い」と判明済みだ。各紙が必ずしも伝えきれなかった「清水寺の深層」を掘り起こしてみよう。

 清水寺の耐震性がクローズアップされたきっかけは、政府の中央防災会議が2月18日に、「近畿圏や中部圏で直下型地震が起きた場合、国宝・重要文化財に指定された建造物が最大で580件被災する恐れがある」と発表し、防災対策の必要性を訴えたことだ。

 中央防災会議は被災件数を割り出すために、5段階にわたる作業を行った。

 第1に、六つの活断層で地震が起こったときの想定震度分布を調べた。六つの活断層とは、花折(はなおれ)断層帯、生駒断層帯、奈良盆地東縁断層帯、京都西山断層帯、上町(うえまち)断層帯、猿投(さなげ)-高浜断層帯である。

 第2に、想定震度が6強以上のエリア(500m四方)に存在する文化財を、「揺れにより被災の恐れがある」と判定した。六つの活断層のうち、花折断層帯でマグニチュード(M)7.4の地震が発生すると、清水寺周辺は震度6強(オレンジ)と震度6弱になる(図1)。

図1

 阪神・淡路大震災の被害経験によると、新耐震基準に従って建てられた木造建物の全壊率は、震度6弱で全壊0〜3%、震度6強で3〜15%、震度7で15%以上となる。また、新耐震基準に従っていない建物の全壊率は、震度6弱で全壊0〜18%、震度6強で18〜80%、震度7で80%以上となる。

 伝統的建造物である清水寺を、新耐震基準か否かという物差しで判断していいかどうか議論が分かれるかもしれないが、「震度6強に襲われると被災の恐れがある」とする見解は妥当であろう。これにより、清水寺は「揺れにより被災の恐れあり」と判定された。

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